春分の日の朝陽

「すごい!明日は春分の日だ」と、その夜、穂高の助産院「ウテキアニ」にいた私はトツゼン気づいて、嬉しくなってしまいました。20日、21日と長野取材に出ていた時のことです。

私は、取材の段取り中、春分の日のことなど何とも思っていませんでした。情けないことに、「あー忙しい、忙しい。この忙しいのに週の真ん中にお休みがあるなんて」と思っていたくらい。それが、長野に入り、アルプスを見て冷たい空気を吸っているうちに少しまともになったのでしょう。

ウテキアニは、氏神様の鳥居の真ん前に、参道に面して建ち、ふりむけば北アルプスの全貌を欲しいままにするという大変な立地条件の助産院です。ここの主・高橋小百合さんは私の非常に古い友人なのですが、この度初めておじゃましたのでした。

間近の神社の真後ろから、思った通り、春分の日の太陽は昇ってきました。ただ、地平線は、お社で見えないのですね。でも、少し上ってくれると、正面から朝陽が見えてきました。

鳥居からまっすぐに、朝陽は穂高の山々を照らしました。まっすぐにまっすぐに、春分の日というバランスの日の朝陽。

美しかった穂高。今も目を閉じると、それだけで瞑想に入っていきそうです。大糸線という「北アルプス線」に乗って長野から佐久へ。そこでは、在宅での看取りを20年以上続けてこられた先生にインタビューさせていただき、またまた命の洗濯をさせていただきました。 2007/03/23