父と「ごんぎつね」を書いた新美南吉のこと

明日から、『ごんぎつね』で知られる童話作家・新美南吉の展覧会が岐阜県大垣市で始まり、その親友として私の父も紹介されます。
大垣市出身の父は新美さんと大学でかなり親密だったようで、父は新美さんの結核に感染したようです。2人は卒業後しばらくそれぞれの郷里で病に伏せて、死の不安と共に生きながら新美さんが亡くなるまでに何十通という文学談義の手紙を交わしました。父の死後に、その書簡の束が発見され、南吉研究に新局面が開けたとされています。
しかし父には、もらっていない返事が一通ありました。それを父が読んだのは、巽聖歌によって編まれた『墓碑銘』という詩集が出たのを書店で見つけた時でした。「手紙」と題された詩として、父はこの時、二十年前に死んでいる親友から返信をもらいとても嬉しかったようです。
17日(土)には南吉の「ごんぎつね」「花の木村の盗人たち」と詩「手紙」が文学座の八十川 真由野さんという女優さんによりプラネタリウムで朗読される「星空朗読会」もあります。
私も行こうと思います。そして、二十歳そこそこで死別した父の、私が知らない若き日を感じてきます。お近くの方、よろしかったら大垣へお出かけください。湧き水のとてもきれいな城下町です。

●コスモドームギャラリー「新美南吉展」
http://www2.og-bunka.or.jp/event/data_554.html
●星空朗読会
http://www2.og-bunka.or.jp/event/data_546.html
場所:大垣市スイトピアセンターコスモドーム
2015/10/10