なぜ教育費の問題をかくも無視するのか

「やっぱり知りたい少子化のはなし」
(8)日本では,なぜ教育にお金がかかりすぎるのか?
中澤渉氏(大阪大学大学院准教授)のインタビュー

記事全文アップしました。日本の「対 GDP の公教育支出の割合が最下位」という事実がまったく問題にされない風土は、一体いつ、どこから来たのでしょうか?

それは、高度経済成長期に全国で親たちが「田畑を売ってでも、わが子はホワイトカラーに」と力を振り絞って町の大学に子どもを送り出した時期に形成されました。

企業も税制を優遇されていて、終身雇用&年功序列制の企業福祉で社員と家族を養い、子どもが進学する時期の親には高給を払いました。

中澤先生の長年の研究活動に根ざした、他ではなかなか見られない分析だと思います。
ぜひ読んでみてください。そして、私もそうですが、今、何人か産んだ家庭が切実にぶつかっている問題の正体を知ってください。

記事はこちらから

2016年3月25日


不妊治療で大切な心の解放

「NPO法人 Fine〜現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会〜」理事長でコーチングの専門家でもある松田亜樹子さんに先日インタビューさせていただき、治療中の方々が今一番困っていることについて記事を企画中です。
松本さんが最近世に送った『不妊治療のやめどき』についてもお話聞きましたが、これは待たれていた一冊だと思いました。不妊治療の「結果」とは必ずしも妊娠を意味しないというアドバイスは当事者の方にとって貴重でしょうし、抗い・疲弊からの解放を導いてくれる松本さんの言葉は治療を経験していない私にも学ぶところが大きかったです。
『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)
http://www.amazon.co.jp/%E4%B8%8D%E5%A6%8A%E6%…/…/4872907841

2016/03/19


切なくて、でも幸せな時間

間もなくお産になるお母さん(手織りのお仕事をしていらっしゃいます)と、まだあとちょっとだけママをひとりじめできるお姉ちゃんのフォトセッション@善福寺川緑地
お母さんが「こういう時期もあと少しだと思うとちょっと切ない」とおっしゃるので、私も自分の2人目出産直前のことを思い出しました。陣痛の数日前に、ものすごく上の子どもが可愛くなって「どうしよう」とほとんど取り乱したこととか。
陣痛が来て「さあ、産みに行くぞ!」と家族で家を出た時、名残惜しさから思わず心の中で「さようなら、3人家族」と言ってしまったこととか。
日曜日に参加者のほとんどが2人目を考え中の方だった講座「1人目・2人目・3人目の妊娠タイミング」を開いたばかりなので、なんだか物事が自然につながった感じになりました。
またこの日に、この講座がさいたま市内の他の公民館でも開催されることが決まりました。とてもありがたいことなので、さらによい講座になるように今から考えていきたいと思います。

2016/03/18


さくらは、まだ少し先

三寒四温のこの時期は、まだ冷たいけれどきれいな空気に包まれ、堅いつぼみたちの気配を楽しんだあとにストーブがあればこれにまさるものはなし。
昨日は、ファン助産院のウェブサイトに使用するために、杉山先生と善福寺川緑地を撮りに行きました。先生が妊婦さんにウォーキングをすすめ、自分のエネルギー源にもしているこの緑地。
素晴らしい仕事を長く続けている方の共通点は、充電がお上手だということ・・・かな?

2016/03/17


「バースハピネス」を考えるシンポジウム

2月28日 京都で「母親たちが企画するシンポジウム バースハピネスを考える 」を主催した「りんごの木 」のメンバー。それそれが地元でお産を語る会のような活動をしているグループの代表者だそうです。朝の打ち合わせに行くと、代表の古宇田さんは赤いベレーにグリーンのセーターで見事に一個のりんごになっていました…カワイイ。

コンセンサス形成という形式で会は進められました。寸劇で会のテーマが示されたあとに幸せな出産を実現するための政策が提言され、それが是非やるべきことかどうかを会場が投票の形で評価して集計→医療資源が有限であることなどをめぐる議論→また集計。

最後に、私のファン助産院で撮影した写真…幸せと信頼が一杯の2つのお産をただ、ただ写し取ったものです…を5分間のスライドショーで見ていただきました。上映後、助産師になったばかりというまだ本当に若い助産師さんが前に来られて大きな目から涙をポロポロ流し、助産師になって良かったと言ってくださったのがとても嬉しかったです。なぎちゃん、ありがとうね。

150名の部屋は満席、隅々まで本当によく工夫されたユニークな力作イベントでした。

育児支援と大きく違い、お産を幸せにする活動は、 さまざまに特別な困難を伴いがちです。
REBORNがたくさんイベントをしていた頃から見ると日本経済に貢献する女性はうんと増えた。
けれど、お産が女性がすることというよりお医者様がしてくれるよくわからないことだという意識は変わらないし、かえって強まっている気もする。

出産というものはあんまり思い出したくないことだ、幸せなお産などイメージできない人ももしかしたら増えている。

子どもではなく母親の幸せを求めるのは女性の医学的リスク意識の欠落やわがままだ、はては宗教だという人もたくさんいます。それは、そういうところに走る人たちもいるわけだけれど
ごく一般的に考えれば、本当は、お母さんを幸せにしてあげれば、そのおかあさんは子どもを幸せにしようとする。

今のままだと、やっぱりお産ってやりたくないことであり続けると思います。
2016/02/29


にぎやかな掛け軸

京都入り。町屋に泊まっていたら、つい先日、そのおうちでは赤ちゃんが生まれたそうです。だからなのか、掛け軸の鶴夫婦にはたくさんのひな鳥がいて大きな口をあけていました。これからバースハピネスのシンポジウム。 2016/02/28


産後うつ、産後ケアについて思うこと

この数年、産後うつ、産後ケア、マタニティブルーに関連するニュースが激増。

私は30年前に初めての出産をして「母子ふたりぼっち」をマンションの10階で経験し「なんだ、これは。ノーマルな人間の生活ではない」と思ってこの仕事を始めた人間です。ですので、今さら感は、もう、たっぷりです。当時は「密室育児」という言葉がマスコミで作られた頃でした。そして、ちょっとだけ社会のに話題になり、ほどなく忘れ去られました。

これは、すでに少なく見積もっても2世代は経ている問題です。日本中の個人が見て見ぬふりをして、無視し続けて、お母さんだけが歯を食いしばって子どものためにこの産業・家族形態の変化による無理、無茶を耐えしのんできたのです。

お母さんも言いにくかったのは、やはり、こういうことを公言するのは子どもがかわいそうですからね。私も長女には、自分が小さかったときにお母さんは楽しくてしかたがない育児をしていたと思っていてもらいたいです。でも、やはり、その子も子どもが生まれたら、同じような悩みに直面しかねません。また、どんなことでも子どもについて思ったことに私は嘘は言いたくないので、私は著作や講演の中でそうした思いを繰り返し公言してきました。

ふつうに考えても、一日の大半を言葉も話せない人とだけいたら、ホルモン云々という前に、誰であってもおかしくなる可能性はたっぷりあるわけです。

でも、あまりにも遅いけれど、やっとあの時期の大変さがキャンペーンされるようになったのは本当によかった。ただ、このように世間が生まれたてのお母さんに注目してくださるなら、「あともう一声!」と思わずにはいられないことがあります。

それは、妊娠期と出産直後のケアの大切さです。

今、産後ケアを一生懸命にやっている助産師さんたちは、妊婦健診や分娩の現場には一種の諦念を持っている人が少なくないように感じます。産婦人科の人手不足や、産み場所減少から来る出産施設の混雑は深刻。空きベッドを出さないために、産科が単科病棟ではなくなる混合化が起きており、妊婦さんがターミナルケアの方と同じ病棟になるケースも珍しくありません。

助産院も、晩産化から分娩が激減していて、産後ケアが中心になるところが多いです。お産まわりから、助産師さんがどんどん減ってきている・・・

助産師さんの存在感が小さいお産から来る結果として、退院時、母乳の出が悪いお母さん、子育てが不慣れなお母さん、そんな中でスマホにかじりついてその中の情報に振り回されるお母さんが増えています。母乳は、全部母乳でなくてもある程度あげられれば、お母さんを安定させる効果もあってずいぶん助かるのですが・・・。そして、お産の時の対応にしても、あまりにも忙しい所では、ご両親が嬉しい温かい思い出を作りにくいです。

そうした状況を変えることこそ、本当は「根っこ」からの育児支援だと、助産の世界ではずっと考えられています(助産とは、医学が産後うつ、異常妊娠などの病理を扱うのに対し、ケアを中心に産む人のためになることを考える分野です)。

しかし、今の状況では、ケアがないことがあまりにも当たり前になり、ケアの不足が見えなくなっています。入院中〜退院後しばらくの時期に出産施設でほとんどケアがないお母さんが、もうぼろぼろになって、やっと地域の家庭訪問の日を迎えても、事態は深刻化していることが少なくないということは容易に想像されます。

出産には、異常妊娠に対応する産科学の他にケアが必要だという認識を広げるために、今年、私は助産が行き届いた妊娠、出産、産後を撮っていきます。それが、目に見えるように。

明後日、京都で開かれるシンポジウム「バースハピネスを考える〜母になるプロセスを支える」で5分程度のスライドショーとして年末から撮り貯めてきた写真を初公開します。 2016/02/26


「産めよ増やせよ」は昭和17年にここから始まった

晩産化について発言する機会が多い私は、かつて国家が兵力増強を目的に「早く結婚しましょう、そして若いうちに産みましょう」と言っていた時代の歴史が気になり、折に触れて情報を集めてきました。

戦中・戦後の早婚奨励、多産奨励と今の少子化対策ではどこがどう違わなければならないのかを、常に考えていきたいからです。

結局、今でも「労働人口の減少」「少子高齢化」を避けるために国は少子化政策に晩産化や不妊対策を盛り込んだのですから、実際のところ、その線引きはそんなに明瞭な線にはなり得ません。「いいえ。今の”ライフプラン教育は『産めよ増やせよ』とはまったく違うものですよ」なんて誰にも言えないと私は思っているのです。

ひとつの謎は、あまりにもよく使われる「産めよ増やせよ」というコピーがどこから来たのかということでした。それが、今、母子保健法制定50周年を記念して国立公文書館で開かれている企画展「生まれた。育てた。-母子保健のあゆみ−」でわかりました。内閣府情報局が国策の一環として発行していた『写真週報』昭和17年4月29日号に掲載された「これからの結婚はこのやうに」でした。そこで謳われた「結婚十訓」の十訓目が、以後マスコミで展開されたキャンペーンの典拠となったそうです。

「結婚十訓」

一 一生の伴侶として信頼できる人を選びませう
二 心身共に健康な人を選びませう
三 お互に健康証明書を交換しましょう
四 悪い遺伝の無い人を選びませう
五 近親結婚は成るべく避けることにしませう
六 成るべく早く結婚しませう
七 迷信や因襲に捉はれないこと
八 父母長上の意見を尊重なさい
九 式は質素に届はすぐに
十 産めよ増やせよ國のため

日本では、こうした非人道的な妊娠政策がとられた歴史があり、その終結も国際的に見てかなり遅く、かつ曖昧でした。ですから、長い間、出産年齢や遺伝は、触れなば直ちに反対運動が起きる「タブー」とされて不妊対策が遅れたように思います。

また出生前診断についても検査を水面下に潜らせ、遺伝カウンセリングの整備を送らせる要因となりました。

企画展は、明治から今日に至るまでの母子保健の流れを全体的に紹介していて他にも興味深い展示品がいっぱいありましたが、妊娠教育が各地の自治体で一斉に開始された今、この時期に、戦時下のこの問題が実物をもってわかりやすく示されたのは意義があることだと感じました。 2016/02/17


海と空と石と

滑川市では私は「海が見たい」とわがままも言い、同市立博物館学芸員の近藤さんに漁港入り口の灯台付近を案内していただきました。

季節によってはホタルイカが光ったり、蜃気楼が出たりすることで有名なこの海。たくさん転がっている丸石は、もとはといえば三千メートル級のアルプスから早月川が落としてくる大岩だそうです。それが急流で砕かれ、やがて海に着く頃には小さくなり角も取れて丸い小石となるのです。

波打ち際ではぎっしりと並んだ小石が転がり、まるで無数の小さな生き物でもいるようにちゃらちゃらちゃらちゃら・・・と鳴り続けていました。「礫浜(れきはま」もしくは「石浜」というのだそうです。

向こうに見える海は見たことがない色をしていました。そして「鉛色」とよく表現される、日本海に独特な空。石はとてもいろいろなものがあって、その中から、雲母のキラキラがたくさん入ったまん丸な花崗岩をひとつ、浜からいただいて持ち帰りました。

長女が大好きだったレオ・レオニの絵本に『はまべにはいしがいっぱい』という本があります。不思議な石の鉛筆デッサンが延々と続く本なのですが、まさか本当にこんな浜があるとは。

漁港をあとにしてからは、北陸街道の宿場町として栄えた滑川の古い町並み「宿場回廊」や、滑川の歴史と自然がわかる滑川市立博物館を見学させていただきました。 2016/01/24


早月中学から届いた感想文

滑川市立早月中学校から、生徒さんたちのすばらしい感想文が届きました。
以下は、私が読みながらまとめた要旨のメモです。直感的、衝動的に始めた写真プロジェクトですが、写真が伝えたものは非常に大きかった・・・思ったとおりです。
そして、私のような3人の子の思春期も受験も終えた者が語ったことも、親との関係がデリケートな十代の心は何かを感じてくれたようです。
実は滑川市では助産師さんによる「命の教育」をみんな受けています。私の話はその次にジャーナリストで写真も撮っている人が来たよという感じで行き、不妊、晩産化、少子化の授業をした形です。感想を読むと、この組み合わせが大変よい効果を生んでいることもわかりました。
出産についての教育は、このように複数の職種で、シートを何枚も重ねていくように進めていくことが大事なのかもしれません。

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・妊娠なんて何にも関心がなかったし、まだまだ先のことだし、ただの一度も考えたことがなかった(この声、非常に多数)。

・でも、聞いたら大事なことだった。今日は初めて親の立場に自分を置いた。今日は親になることを考え始める一歩を踏み出せた。
10代からできることがあった(ハード過ぎる部活による無月経に気をつけるなど)。

・子どもは大人になれば誰でも自然に生まれると思っていて、産みたいのに産めない人もいるなんてびっくりした。赤ちゃんは本当に授かりものなんだ。そして生まれることができた僕の命も貴重なもの(この声、かなり多数)。

・親になるのは大変なことだけれど、それ以上に喜びがあることがわかった。写真を見たら、生まれたらあんなに喜ぶんだと思った。
私はお母さんになるのは不安だった。すごく痛いって聞いていたから子どもは産みたくないと思っていた(この声、かなり多数。会場で聞いたときも子どもが欲しいと手を挙げた子は少数だった)。けれど、写真に出てくる人がとても幸せそうだったから、やっぱり私も産みたい。産む自信が出てきた。

・お母さんが自分を産むときにがんばってくれたことに感謝(かなり多数)。お母さんが自分やきょうだいを産むときに経験した流産や帝王切開、早産のこと。(お母さんの年齢が高い子)お母さんは高齢出産だったけれどがんばって僕を産んでくれたからありがたい。(お母さんが若い子)お母さんは若いときから産んでくれたから私にはきょうだいがたくさんいて楽しい。

・写真に写っていた助産師さんたちは第二の母親のようだ。いつも緊張の中にいると思うけれど、すごい。かっこいい。こういう人がいるのなら安心だ。(自分にはできないという声と自分もなりたいという声が半々)

・少子化がこれからどんどん進むことがわかった。国の推計を知ってびっくりだ。それに、単にいやだから産みたくない人が増えただけだと思っていたけれど、実際には、こんないろいろな真実や思いがあったのか。産みたいのに産めない人、ためらってしまう人も多いんだ。少子化を止められる社会にすべきだ。子どもを産む人にもっと温かい社会は何か考え、人々の意識を変えることが大事だ。

・妊娠や出産では悩んでいる人がたくさんいるとわかった。不妊治療をしても妊娠しなかったり、流産を繰り返すなんてすごく悲しいだろう。もっと悩んでいる人を助けてあげるべきだ。(男子)僕は男だから産まないけれど、その時には女性を一生懸命支えたい。

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中学生という年齢の子どもたちからもこのような言葉が出てくることを、たくさんの方に知っていただきたいと思います。 2016/01/24