大腰筋エクササイズ

『大腰筋』というインナー・マッスルがテレビや雑誌で話題になっていますが、わかりやすい名前の筋肉です。今や夜な夜なたっぷり半時間もヨガする人になっている私は、「どうれ」と大腰筋のエクササイズもやってみました。「その場で足を90度上げて足踏みを200〜300回」とか、寝て10回足を上げ下げしたりするものです。

ヨガ、空手、大腰筋のエクササイズは、それぞれ使う筋肉は近く健康法ととらえ得ます(空手はちときついですが、まあ、そうとらえられないことはない)。が、まったく違った思想があることが浮き彫りになり、おもしろいです。

面白さで言うと、大腰筋エクササイズは「誰にでもできる」を追究したせいか、単調な繰り返しなのでち−とも面白くありません。ヨガのような快楽物質も出ないので、ヨガをしている人には、ご褒美がない感じ。効果が体型、体力についてのみ説かれているところも、何かこう、即物的でロマンがない。

その点ヨガは、世界平和などを夢見ていますので、壮大なロマンがあります。

その代わり、ヨガはその精神性ゆえ「宗教的でついていけない」と思われたりします。ポーズも、「な、なにしんての‥‥アンタ」と慣れない人をギョッとさせるものが。

空手に至っては、あやしいばかりか、怖がられます。

四方を敵に囲まれながら素手で敵を打ち砕く技ですから大変なロマンですが、これは、まったくもってご家庭向きではありません。狭い家の中で練習すると、家族をどついてしまったりして迷惑きわまりない。上級者の真剣な気合いなんかを聞いた日には、もう。

このように考えると、あやしくもなく、怖くもなく、畳一畳もあればできて、音もしない大腰筋エクササイズは、誠に現代人にふさわしい洗練されたものです。

でも私は、やっばりロマンがないとだめみたい(もちろん、大腰筋エクササイズもよくできていますが!)。 2005/06/16


エレベーターに乗っていた大根

ぬか漬けがおいしくなって漬け物を買うお金というものが要らなくなり、近所の近郊農家の朝市も野菜がいっぱいになり‥‥最近は、安上がりにかつ大変美味しくしています。

1本100円の葉付き大根は特に気に入っていたのですが、それは、ついにおしまいになってしまいました。で、最終日は規格はずれの型をした大根が山積みになりました。

二股大根を買って帰ったのですが、下の子が大喜びしました。「千と千尋の神隠しでエレベーターに乗ってた大根だあ〜」と言って(覚えていますか?確かに乗っていました)。

ジブリ映画は、日本人がかつて自然に目にしていたのに、いつの間にか消えたり、隠されたりしてしまったものを随所に縫い込んでいますよね。 2005/06/09


岡本正子さんのお釜

東京・国分寺の矢島助産院などで妊婦さんや育児中のお母さん達対象の料理教室を開いている岡本正子さん。写真は、その岡本さんが結婚以来毎日ご飯を炊いてきたというお釜です。ピカピカに磨き込まれていて、ああ、本当にいいなあ。これを見ているだけで、岡本さんの心が伝わってくるの。

「蓋は2代目なんですよ。でも、先代のふたも、そういうものは捨てる物じゃない、って思ってとってあります」(岡本さん)

岡本さんのことは、今春出たご著書『自然のお産献立ブック−矢島助産院ウィメンズサロンの安産・おっぱいレシピ』(自然食通信社)を送っていただいたご縁で存じ上げました。折しも、断食直後のことでした。食に対する関心が、倍加していた時でした。

実は私、かつて『お産選びマニュアル』の企画書書いたとき、『助産院ごはん』の本というものも企画したのでした。私にとって、助産院出産での体験はご飯体験でもありましたので‥‥でも「いまどき、総頁カラーで安価な料理本を山ほど作っているB社などにはかなうはずない」と通らなかったのですが。

でも、今回は岡本さんにお願いして、All About「出産医療・産院選び」の食のコンテンツを作らせていただいています。

今日はおすすめレシビ集の取材をしました。この日、このお釜で炊いていたのは、炒った黒豆を炊き込んだご飯。炊きあがったら飯台にガーッとあけて、寿司酢を混ぜると、みるみるうちに、ぴかぴか輝くパープルのご飯に。「黒豆のお寿司」のできあがりです。

ウチウマやスタッフ日記で料理マニアぶりを全開しているREBORN宮下も誘って行き、手伝ってもらいました。それにしても、岡本さんと宮下さんの食材のお話は濃かった。あやしかった。ふたりの話を聞いていると、『中国大陸・謎の乾物発掘の旅』なんていうすごい本のイメージが浮かんでしまうのでした。

ご飯作りが好き、ということは、幸せね。

人生をグンと楽しくする極意のひとつですね。岡本、宮下両師匠に、私もついて行きたいと思ったのでした。

All About「出産医療・産院選び」
岡本正子さんのマタニティ薬膳(1)高めよう!食べ物の「選択能力」
http://allabout.co.jp/children/birth/closeup/CU20050531A/index.htm
2005/5/30


仕事中の音楽

ヴェローゾのことを書いたので、音楽のこともう少し。

私、会社勤めをしないフリーの人間は何がよいといって、仕事中に好きな音楽をかけられることだと思うのです。他には急に雨が降ったとき洗濯物をとりこめるくらいでして。

以前、文春かなにかで仕事中の音楽をいろいろな人があげていました。その時の一位が、確かモーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」でした。

私も「今日はキメルぞ〜!」と思った日は、オペラです。でも私はビゼーがすごく好きで、マリア・カラスとパリ国立歌劇場管弦楽団の「カルメン」をかけます。

同じく、高揚を求めて、もう本当にガーッと生きたいときは、ヴェローゾと同じくブラジルのカリスマであるミルトン・ナシメントの「ミラグリ・ドス・ペイシェス」。

肯定的な大きな気分になりたい時は、ベートーベンの田園交響曲です。キース・ジャレットの「ケルン・コンサート」は空気をキリッとさせる一枚。それから、ジョニ・ミッチェルは、どれも本当に素敵だと思う。

毎日こんなのをかけているわけではなく軽く聞いている日が多いんですが、ときどきは、こんなのを大音響でかけてお仕事してます。 2005/05/27


カエタノ・ヴェローゾ東京公演

私の仕事部屋にあるCDはほんの数10枚。かつて音楽カメラマンだったころの1割にも満たないほんの少しの音楽なのだけど、いつも手元から離したことはない、この人−カエタノ・ヴェローゾ。

昨晩は、そのヴェローゾの東京公演に行きました。会場の国際フォーラムは、久しぶりに感じる「ミュージシャン率高いな」という雰囲気に包まれていました。

公演は素晴らしかった。日本のサンバは、悪いけれど、サンバではない。ボサ・ノヴァはボサ・ノヴァではない。ヴェローゾのバンドはかなり知性派なのだけれど、底に流れるラテンのリズム、それは熱い吐息、愛そのものです。みんなヘンに洗練されている東京にはない、そういうもの。

英語の歌もたくさん歌うのですが、やはり、ブラジルの歌が秀逸です。ポルトガル語は何を歌っているのか全然わからないんだけど、でも、すごく感動する。

となりにすわっていたブラジルのおばさんが、感極まって「わーーーっ」と叫びだした。ブラジルの人たちは、自分の愛する人のことを思い出しながら彼の歌を聴いていたのだろうか。私も、歌詞わからないけれど、そうだった。

まことにアツアツな一夜でした。終演後は夫、長女と銀座でワインを飲み、まだ火曜日だというのに午前様しました。 2005/05/25


成功するか?読書計画

うちの夫は、あほほど本を読みます。1日1冊読む日も多いらしい。例えば村上龍の『半島を出よ』を読もうと思ったら、どうせなら村上龍の全タイトルを読んでから読もう、と思いついたりして実際にがんがん読み進んでいる。

もう少しボーッとした人だったら、私は彼の読書時間も読書代も恨んで「本なんか読んでないで、家事してよーっ!」と叫びながら暮らしていたことでしょう。

でも私は、夫には本を読ませておき、生き字引として使った方が私のトクになることを悟っているのでした。それにしても私だって、本当はもっと本が読みたい‥‥。

それで夫に相談すると、読書リストを作るとよいのだ、という。そういえば本棚には「積ん読」になっている本がたくさんあって「ああ、読む時間が欲しい」と漠然と思っているのだけれど、一体どれくらいの本を自分が読みたがっているのか把握していませんでした。

これで厳選だ、と思ってリストアップした本は実に31冊!読めるか?!

「仕事柄いちおう読んでおかなくちゃ」というものから、「これは共に生きていく本になるかも」と予想される本までいろいろですが、本はいつでも、一冊読めば自分の中の何かが生まれ変わります。いっぱい生まれ変わりたいものです。

リストアップされた本は一箇所に集め、棚にリストを貼って読んだものから消していくことにしました。さあ、読破は成功するか? 2005/05/21


「ご安産一座」医科歯科公演

「ご安産一座」というのを、年に1回、東京医科歯科大学でしています。これは今を去る10年前、「いいお産の日」第2回で会場に分娩台を展示しようと決まったとき、助産師ネットワークJIMON(ジモン)で日赤医療センター助産師の中根さんと悪ノリし、始めました。

「分娩台とか、産科の機械とか展示するけれど、解説したいよね」「ただ解説するだけじゃおもろないよねえ」「じゃ、お産しゃおうか」

‥‥まあ、そんな風に始まったものなのですが、結局、分娩台のお産よりも、その続きにプラスした「たたみ上でのフリースタイル出産」編がウケました。以来、全国各地のお産イベントにジモンの助産師さん達が出張公演に行ったり、イベントの1つの定番出し物として模擬分娩が根付くことになるのです。

一応、元祖「ご安産一座」である私たちの今の対象は、看護師さんになる学生さんたち。授業の一環としてフリースタイルの出産劇をやっているのです。キャストは産婦役は賛育会病院の助産師さんでやはりジモンの中沢さん、助産師役に中根さん、口上役が私です。

中沢さんが大きなお腹にTシャツとスパッツ姿で現れると、学生さんは「おーーっ」と大喜び。しかし、すぐに窓のブラインドが降り、天井の電灯が消え、暗い中で産婦のうめき声がしてくるとみんな神妙な雰囲気に。

今は男子学生も看護のクラスにひとりはいます。彼は、いきなり産婦に呼ばれ、夫役になる運命にあります。

いよい産まれそうになると、学生さんたちはバババと集団で走り寄ってきて、お人形が産まれてくるところを嬉々としてのぞき込みます。その時の、みんなの大きく目を見張った顔がイイです。

そのあと、フリースタイル出産について、助産院や助産師について、夫立ち会いについてたくさんの質問攻めを受けて、けっこう大興奮のうちに授業が終わります。

私たちにとって、フリースタイル出産はもう長いおつきあいです。ご安産一座で中沢さんが産んだ子はもう100人くらいだとか。でも、いまだに、こんな看護の道に進もうという人たちさえこうした教育で初めて「分娩台がなくても産める」と知る、そんなケースが多いのです。

お産が変わるというのは、自分のお母さんのお産話が変わり、テレビのお産シーンが全部変わってようやく何とかなるのでしょう。

中沢さんは、あともう100人くらい産まなきゃ、かもね。

<写真>クラスマックスに向かうご安産一座。 2005/05/12


クールビズこそ少子化対策

雨。暑苦しい日があまりなくて、「ノーネクタイ、ノー上着=クールビズ」のテレビ写りがいまいちだ。でも、期待しています。日本はもはや亜熱帯気候なのですから、あの夏のビジネスマンの服装は本当にお気の毒です。

また、私のような商売の者は、スーツに合わせてきつく冷房したオフィスにいる女たちを心配せずにはいられません。ふつうに夏の格好をする自由がある女性にとって、夏のオフィスは身体の芯まで冷える場所。帰宅後、身体をあたためるアロマテラピーやら入浴剤やらをしてみても追いつかず、冷たい足してなかなか寝付けない人もいるのです。

「冷え」は、妊娠したいと思っている女性も、妊娠させてくれません。少子化が進んだという話題は「国のことを考えて産んでくれないと困りますなあ」などと女性には聞きたくない、絶大な逆効果がある発言が繰り返されるだけ。でもクールビズは、とってもよいと思います‥‥もし、ほんとに冷房が弱くなれば。

それにしても、もう少し見栄えのいいクールビズがテレビに映るといいな。ここは、日本中のスタリストさんが立ち上がり、政治家、財界人についてほしいところ。私は、アジアンなテーピングのあしらいがあるスタンドカラーシャツとか、渋色のビンテージものアロハなんかすごくいいと思うんですけど。
2005/06/10


今年のゴールデンウィーク

ゴールデンウィークはすばらしい。誰かが「日本人はバカンスもせず働き過ぎだというが、こんな最高の季節に一週間も休む国はない」と書いていたのを毎年思い出している。

今年のゴールデンウィークは、入る前の仕事がゴシャゴシャでなかなか眠れず、きつかつた。それで、毎日を「やりたいと思っていてできなかったこと」をひとつずつしていくゴールデンウィークにしようと思った。

初日は起きるとすぐに適当な弁当を作り、家族数人連れて近場の緑地へ。木陰で降るようなグリーンのシャワー、木漏れ日と風を浴びながら5月を満喫。

その他にしたこと。

持っている料理本の中でも選り抜きの3冊を選び、何品も作った。

初めてぬか床を作り、ぬか漬けを始めた(まだ美味しくないけれど、ペットのようにかわいがっていると次第に美味しくなるらしいです)。

「マイドキュメント」のホルダを整理して全部バックアップをとった。

そして、最近がんがわかった大好きな叔母を訪ねることができた。自宅に帰れて、親戚数人でとてもなごやかな時を過ごすことが出来た。

今年のように落ち着いてゴールデンウィークを一日、一日過ごせたことはないかもしれない。 2005/05/06


日本女性20代の「やせ願望」

All About「出産医療・産院選び」で、食生活についてのコンテンツを作っています。その取材対象のおひとりにお会いしてデータをいただいたのですが、日本の若い女性の「やせ願望」はどんどん強くなっていることが如実に出ています。

20〜29才では、指標であるBMIが「やせ」とする範囲にある女性の1割が、自分を「太っている」と自己評価しました(厚生労働省健康局調べ)。このような集団的なやせ願望は欧米には見られない我が国独特の現象で、しかも男性にはない。ここが私には激しく興味津々になってしまうのです。

私は「極端なダイエットは生理が止まっちゃう!妊娠中であれば赤ちゃんが小さくなってしまったり、飢餓を感じて将来成人病になる確立が増えてしまう!(成人病胎児期発生説「バーカー説」→詳しくはこちらで http://allabout.co.jp/children/birth/closeup/CU20031109/ )」と書いてきました。だから、このようなデータには真っ先にまゆをしかめ「もーお。最近の若いもんは」と言いたいところなのですが‥‥

興味津々になってしまうのは、これが何を意味しているのか、というところでいろいろな理由が浮かんでしまうからです。

やせ願望の強い女性たちは、「やせてかっこよくなりたい」と思っているだけなのか?ほとんどの人がそう自覚しているとしても、その身体の奥底にある深層心理には何かないのか?たとえば、急に大量の肉食を始めてどんどんふとってしまった上の世代の反動はないのか。

「もっと食べたい。貧しいアジアはもういやだ」そう思って日本人は豊かになってきたけれど、肥満が増え、身体は不幸せになりました。それを見てきた、若い世代がこう思っても不思議はない。「食べるのって、なんか、ヤだな」

食料は、地球規模で不足に向かっている。この、大きな視野に立ったとき、若い女性が、我が身の不幸かえりみず、やせ細り、生殖パワーを減少させるのは皮肉にも「地球にやさしい」。

これからアジアの国々が次々豊かになり、日本のように大量の食料を消費するようなったら、耕地がとてもではないけれど足りないそうである。特に肉の消費拡大は家畜が食べるだけ作物も消費拡大するのであり地球の資源を激しく消費する。

この不思議な不思議な、世界に類を見ないという「痩せ願望の一群」。あなたたちが立ち現れたのはある意味で正しい、と私は密かに思います。この現象を、男性は表さず、女性だけが表しているのもおもしろい。

ただ「痩せ」の質が問題で。昔の日本人のようにこの自然風土にふさわしいものをしっかり食べ、細いのにパワフルなボディを作れるのなら、おそらく生殖機能にも悪い影響が出ず、理想的なのだろう。2005/04/27