『卵子老化の真実』(文春新書)の中国簡体字版が中国の出版社から出版されました。
封を切ったら、文春新書の表紙とは似ても似つかない装丁でびっくり。ショッキングピンクのバックに大きなお腹、そしてタイトルは金色にぴかぴかと輝いています!私の名前は「河合兰」になるようですね。
でも私、これ、すごく好きです。中は、漢字をにらんで見る限り、とても忠実な翻訳だと思います。中国のご友人が30代以上で妊娠を考えている方、ぜひご利用ください。
丸善出版から明治30年に創刊し、もう120年近く続いているという日本最古のPR誌『學鐙』。4ページのものですが、私はここで、やっと、出生前診断について自分で納得できるものが書けたように思います。
『出生前診断-出産ジャーナリストが見つめた現状と未来』を出すまでも限界まで頑張りましたが、その本を出してから半年間の間にいただいた嬉しい言葉、新たに出会った人や本、そのすべてが私の中で糧となってここにもうひとつ深い世界をまとめることができたと思います。
このように自分なりの着地を体験できるとは、書く仕事をしていてよかったです。
「会津助産師の家 おひさま」の助産師・二瓶律子さん。
福島県は、避難所にいた産後のお母さんの居場所を確保するために助産師会が助産所を作り、破格とも言える価格でお母さんと赤ちゃんを預かるようになりました。
初めは他県からの災害時支援を受けて財源としていましたが、今では県の少子化政策の一環として行われています。料金を聞いて安心してやってきたお母さんたちのほとんどは、数日間の入所ケアで母乳が湧き出し、元気になって帰るといいます。
産後ケアが注目されていますが、利用料が非常に高額なため、一部の人しか利用できません。お金のある人がいい車に乗るのは当然でしょう。でも、妊娠・出産・育児がお母さんの経済力で差が出るのも当たり前でいいのでしょうか。
この問題を解決しているのが福島県です。災害時の助け合い精神が充実する状態は「災害パラダイス」と呼ばれるそうです。それは必ず、消えます。でも、それを経験した人は、その後の人生の行動も変わると言われています。
「妊娠初期に障害がわかるようにすべきだ」などの発言で大騒ぎになった茨城県教育委員会委員の件をめぐり、フジテレビのインターネットニュース「あしたのコンパス」で電話出演しました。「きょうのPich Up」というコーナーで、放送後はアーカイブとしてアップされます。前半20分がFMC東京クリニックの中村靖先生、後半20分が私で、ジャーナリストの佐々木俊尚さんと話しています。
衝撃報道ではありましたが、今回、国や自治体が中絶をすすめるなど言語道断という全国的な共通認識は形成されたような気がしますのでそこはよかったと思います。
◆ホウドウキョク 2015年11月20日
こちらから聞けます。
日本で唯一の助産専門誌「助産雑誌」は、戦後史をいくつも掘り起こせそうな雑誌ですが70年目を迎えたそうです。
私が20代で「やる気あります」くらいしか言えなかったころ、いろいろな場へ導いてくれたのは当時『助産婦雑誌』の名物編集長だった高木貴美子さんでした。そんな思い出の数々を寄せた記事です。
婚活ビジネスについてのインタビュー記事でイオングループ「ツヴァイ」に取材しました。こちらの成婚率は半分弱だそうです。結婚相手の年収にこだわる女性は確かに多いようでしたが「世間で盛んに言われているほど多くはないですよ」「プロのアドバイスを受けながら婚活することで条件を変える人も多い」ということでした。
昔の「お見合いおばさん」の活躍についても話ができましたが、かつての日本では誰でも身近な独身者の心配をして世話を焼いたそうです。それが個の時代となり、独身の人を気づかえば「セクハラ」として批判されるように・・・この変化は、実はとても大きいことなのかもしれません。
分担執筆で戦後の人物史を綴っていく全集で、私が書いたのは松田道雄です(私のページは安保とは関係がありません)。
岩波書店の百年の歴史の中で、最もよく売れたもののひとつが松田道雄の『育児の百科』です。また松田先生は、女性の生き方や政治哲学、老いなどについても多くの発言をしていて、生涯に約百タイトルの著作を残しました。
京都の開業小児科医ということになっていますが、ルーツはといえば水戸藩に代々続いた医者の家に生まれた人です。漢籍や6カ国語を読んだというほど語学の才にも恵まれ、また若い時にはマルクス・レーニン主義に心酔して戦後に苦い挫折感を味わった若者のひとりでもありました。
松田道雄が脚光を浴びた時代は、若年人口が地方から都会へなだれを打って流出し、郊外に団地が続々と作られ核家族の時代が始まった頃でした。そこで起きた育児の知恵の断絶を修復しようと勝負に出たのが、のべ150万部を売り、世代を超えたファンをたくさん獲得するに至る『育児の百科』だったのです。
しかし、優しい小児科医の顔の下に松田道雄は、思想家の魂を持ち続けました。そこにあったのは、深い失望です。そして、戦後日本の張りぼての民主主義や、浅はかな自由を鋭く批判し続けました。そんな松田先生の生涯をまとめた人物論です。
あわせて、私がなぜ「出産ジャーナリスト」などという仕事をするようになったのか、その答となる私の子育ての原風景もあわせて書いています。
卵子老化に対策はあるのかという疑問に答える4ページを書きました。
つい読者を喜ばせる方向に走りがちな、よくある「お題」ですが、これは志馬千佳先生(志馬クリニック四条烏丸院長)、細川忠広さん(「妊娠しやすくなるカラダづくり」編集長)にご登場いただき、誠実に答えられたのではないかと思います。
自分の卵子の力は、妊娠しようとしないで知る手段はきわめて限られています。でも、卵子の不安を婦人科検診、根拠あるアンチエイジング、健康的な食生活につなげていくことは女性の人生のために有意義です。
私の『卵子老化の真実』は、東洋医学の専門家にもかなり読まれているようです。ここでは、不妊患者さんが多い鍼灸師さんたちにお話してきました。科学的検証が進まないまま、不妊鍼灸がビジネスとして大きく発展してしまった状況を改革しようと設立された会だそうです。
私も、個人的には鍼灸はとてもいいと思っていますが、東洋医学は本では扱いが難しいという印象を持っていて改革を期待しています。
「心理臨床と身体の病」という科目で一コマゲスト出演させていただきました。周産期心理臨床のパイオニアである橋本洋子先生が担当する講義です。台本を練り上げて、『卵子老化の真実』と『出生前診断-出産ジャーナリストが見つめた現状と未来』のエッセンスと橋本先生の臨床心理の講義をわずか43分にまとめました。
橋本先生は、私の女性たちへの取材は臨床心理士さんの仕事に重なる部分があるのでは、と推察され、そのために今回お声をかけてくださいました。お話ししてみると、確かに、類似点がいくつも見つかりました。橋本先生のような方に心理学の考え方を学ばせていただき、大変ありがたい機会となりました。
日本助産師会がブロック別に全国で毎年開催している研修会で講演をしました。1日目は「出産体験が子育てにどう影響するか」というお題をもらい、自分自身の3回の出産、子育てを振り返ってお話しさせてもらいました。2日目は、「助産師が知っておくべき最近の子育て事情」というシンポのシンポジストをさせていただきますが、こちらでは晩産化、生殖補助医療との関連についてお話ししました。北の国の助産師さんたちとゆっくり2日間過ごすことができました。
北海道、東北地域は、産科医不足・産み場所の減少が全国で最も深刻な地域です。出産施設がいよいよマンパワーをなくしていて、入院中のお母さんに育児を教える余裕がない状況がひしひしと伝わってきました。
出生前診断の集まりといえば、倫理や医学の専門家が集う堅くて学術的なものになるのが常。ですが、REBORN主催で開いたこの日は、出生前診断をまんなかに、母親、医療、行政、保育、市民活動、法律、アートそれぞれの立場の方が日頃の思いを話しました。先天性疾患を持つお子さんを出産したお母さんも、疾患を発見した時の対応に日々悩んでいる医師や助産師さんも、円座でざっくばらんにお話しました。
感じたのは、たくさんの人が今言いたい、言われたいのは「どんな選択でもいいよ」という一言では・・・ということです。
写真は、会のあとに出版祝いとして開いていただいた交流会で夜まで残った組。
世界の助産師さんが横浜にやって来たICM( International Congress of Midwives 国際助産師連盟)アジア太平洋学術会議助産学術集会。その会場である横浜パシフィコの大ホールで、開催地・横浜との共同事業として中高生向けの講演会が開かれ、演者をつとめました。嬉しいことに800人もの方が、いらしてくださいました。
横浜市は市内の中学校、高校すべてにちらしを配布したそうです。私も10代の娘がいる身なのでやりがいを感じました。30代女性には定着してきた「産み時」の話も、10代にはまだまだ届いていません。助産師さんや保健の時間を教える先生たちは熱心に身体のことを教えてくださっていますが、その方たちも不妊のことはこれまでほとんど学んできていません。それほど急に浮上してきたトピックなのです。
大会で全国から集まっていた助産師さんにも、これから地域の保健教育で教えて頂きたい最先端の現場事情、女性たちへの取材経験を直接お伝えする最高の機会となりました。(写真は講演で司会をしてくださった淵元純子さん、看護協会の早川さんと)
経済が発展した国では、労働人口をひとり育てるために教育費がかかります。それを誰がどこまで負担するかは大きな問題です。
欧州では18歳にもなれば親子は別人格であり、教育は消費ではなく投資であり、教育の機会平等も守られるべきという考えが強いので国が相当部分を負担しています。
一方の日本は、政府が負担する教育費の対GDP比が「OECD 30カ国中最低」です。日本では、親が「わが子には楽な暮らしをさせてやりたい」と思い苦労して学資を捻出することを美しい行為だと考えてきました。日本の高等教育は、それを上手く利用し、公的なお金を節約しながら普及しました。
中澤先生に取材して、私が自分も子ども3人の高等教育を支払いながら調べ、考えてきたことがとても深まり、そして確信に変わりました。
オールアバウトで出生前診断について書きました。出生前診断は、妊娠後に突然直面し、大急ぎで知識が必要になる方も多いと思います。しかし、出生前診断は、日本では情報不足や偏見、誤解が膨大なテーマ。妊娠前から知っておき、少しずつ考えておくことをおすすめします。
賛成? 反対? 出生前診断の歴史と意義
こちらから
出生前診断とは? 種類・時期・費用・実施病院
こちらから
出生前診断に必要な「遺伝カウンセリング」とは
こちらから
優生思想、命の選別…日本の出生前診断の問題点
こちらから
妊娠したら誰しも受ける「超音波検査」の落とし穴
こちらから
書評誌「ダ・ヴィンチ」のウェブサイト「ダ・ヴィンチNEWS」に『出生前診断』の著者インタビューがアップされました。
「日本の出生前診断の論争には、いつも『妊婦さんはどうすべきか』を第三者が決めようとする空気が流れている・・・」等々とお話ししました。
インタビュアーの三浦ゆえさんは、これから産むかもしれない女性としての不安をストレートにぶつけてきてくれたと思います。
性と健康を考える女性専門家の会の勉強会「出生前診断 ― 今、求められているものは?」でお話ししてきました。講師と会場の一体感がとても素敵な勉強会でした。
自然妊娠〜不妊治療の入り口あたりにいる方向けの企画。
近年、私は女性誌では監修ばかりになってしまいましたが、この記事は私自身が書いています。ご依頼あり、日程が合えばいつでも書きます。
この記事の監修は、医学的根拠に基づいたブログが専門家にも話題の松林秀彦先生(リプロダクションクリニック大阪院長)にお願いしました。
日刊ゲンダイで『出生前診断-出産ジャーナリストが見つめた現状と未来』(朝日新書)の著者インタビューを出していただきました。
1時間半という長いトーク。ずいぶんいろいろお話ししました!
私が二十歳のころに「家族を作るってすごいいいかも?!」と思ったきっかけをくれたシーナ&ザ・ロケッツのこと。初めてのお産仕事となった取材で出会った「お産婆さま」のこと、父の日にちなんで、私の父のこと。卵子老化や高齢出産の増加のこと、そして出生前診断のこと・・・。
放送中にメールをたくさんいただいたので、びっくりしました。ありがとうございました!また、シナロケの鮎川誠氏が番組の前も後も、めちゃくちゃ応援してくれました。
スタジオの方たちも、まりやちゃんはじめ、お産のことは初めてという方も随分勉強してくださって、一生懸命考えてくださってうれしかったです。
大学1年生を中心に200名の学生さんが登録したこの全学総合講座「ジェンダーで眺めてみれば」は、今年の特別企画だそうです。セクシュアリティのさまざまなテーマやマタニティ・ハラスメントなどについて13名のゲスト講師が行って話します。
私は妊娠から分娩に至るまでの生理的プロセスや、将来産みたいなら知っておいて欲しいこと、不妊治療や出生前診断のアウトラインをお話ししました。数日後、いただいたレポート、感動でした! 半数近くが男子学生でしたが、かなり高い関心を持ってくれたと思います。出生前診断の問題もちゃんと伝わって「今から考えていきたい」という声がたくさんありました。
今春、少子化社会対策大綱に「妊娠・出産の医学的・科学的に正しい知識の教育」が入ったことはひとつの区切りと私は感じましたので、これまでの流れをまとめてみました。
前半では、私が2003年に『アエラ』(朝日新聞社・当時)の取材で初めて体外受精の年齢別データを見て驚いたことから各社の女性誌での企画、『卵子老化の真実』(文春新書)で考えてきたことを中心に、どちらかというと個人の努力、民間の活動で広報活動が行われていた時代について。
後半は、企業や大学への出張出前講座などを積極的に行ってきた大分県、エイズ予防講座を流用し学校教育に出産年齢というテーマを取り入れた岡山県のケースを通じて国、自治体が動き出した様子を伝えています。
30歳前後の働く女性をターゲットとするファッション雑誌『BAILA』の別冊付録『妊BAILA』で読者さんと卵子老化座談会をやりました。真剣にグラフを見てくれた読者さんたちの写真に漫画風の吹き出しがつくなど、ビジュアルがとても親しみやすい感じに仕上がっています。ジャストにその年頃な読者の身体を思いやる編集者さん、ライターさんの思いやりを感じる充実の別冊付録でした。
日本産科婦人科学会の学術講演会は産婦人科で最大規模のとても大きな学会で、私にとってはよく「PRESS」の腕章をつけて取材、勉強させていただいてきた学会です。
医師ではない私には、行き始めた頃は専門用語がよくわからず、自分がどの演題に行ったらよいのかも決められない状態でした。その学会で、生涯研修プログラムのひとつとしてシンポジストをさせていただくなど当時の私には夢にも思わないことでした。
今回、『出生前診断-出産ジャーナリストが見つめた現状と未来』が書店に並ぶか並ばないかの時期に、高齢妊娠の経験者として、また『未妊』『卵子老化の真実』『出生前診断』三冊の本で女性の声を届ける立場に立った者として、思うところを存分に発言させていただきました。
先生方が「女性から診察室の外で声を聞く機会は少ない」と熱心に聞いて下さったことがとても嬉しかった講演となりました。
「着床前スクリーニング(PGS)」は、私にとって『卵子老化の真実』『出生前診断-出産ジャーナリストが見つめた現状と未来』の二冊が合体したような検査です。これを出生前診断としてとらえる記事は多数出てきましたので、私は不妊治療の場ではどのように見えるかについて解説しました。