来年早々に出る雑誌の取材で、ちょっと欲張り中です。
先週は関西に2泊。奈良の妊婦さんたらい回しに関する所を訪ねたり、長年のおつきあいのあるところへ行き、この産科危機の時点で改めて彼らの情熱に感動したりしてきました。
そして一昨日から昨日にかけて東京の病院を取材し、分娩シーンを撮らせていただきました。お産を待つゆとりや私たちの世話を焼いてくれる方やインタピューする方の勤務帯などを考え、一日半のプロセスで予定を組みました。組んだあとで気づいたのですが、これは偶然に、産科医の「夜勤あけ勤務」を疑似体験することになりました。
ふつう夜勤明けというのは、朝8時頃に帰宅できるのですが、産科医の世界は、ここから外来に入り、午後は病棟をまわって、夜の9時や10時に帰るという異常な長時間労働が常態化していると言われています。一体どんな感じなのか?
その日は夕食を早めに食べて午後8時からふとんに入ってみました。寝付けない。しかしいつも睡眠不足なので結局しっかり寝てしまい、10時に起きて闇の中を「出勤」しました。
ありがたいことにお産を撮らせて下さる方は午前3時半にはお誕生になりました。可愛い、可愛い赤ちゃん。「ああ、いいなあ‥‥」と編集者、カメラマン一同しばらく見とれて病院を出たのが5時過ぎ。朝にも撮りたい絵がありましたが、1時間でも寝てこようと近所のホテルに行き、昇る太陽と行き違うようにベッドに潜り込んで2時間くらい寝る。その後、その日の夜9時頃に予定をすべて終わるまで、あいまに近所のホテルなどでとれた睡眠は、合計3回、時間にして3時間くらいだったでしょうか。
2日間がまるまる連結した仕事は、やはり私には一大イベントでした。まあ、私も普段は5時間くらいしか寝られる時間なく徹夜で原稿書いて丸2日起きていることは時々ありますが、やはり、ライターのそれは非常事態としてあるわけです。
しかし産科ではこのような労働時間が定期的に、医師によっては週に何回かあり、延々と繰り返されるということです。特に思ったのは、自分はともかく「人を雇えないだろうなあ。来てもすぐやめてしまうんだろうなあ」ということ。私は好きだからいいけれど、今回取材に同行してくれた人はみんな楽しく仕事してくれたけれど、いつもそういうチームができるとは限らない。そうした不安が、何となく分かりました。 2006/12/07