2011年11月一覧

種子島のシンポジウムに遠隔参加

今日はお昼から夕方までずっと、動画サイト「USTREAM」で、種子島でおこなわれたへき地離島周産期医療フォーラムの中継を見ていました。

また、私が送ったビデオレターのあと、ウェブカメラを使ったテレビ会議システムで2分間会場とつなぎ、種子島唯一の麻酔科医で司会の高山先生と2分間お話しました。カメラに本棚が映るので、始まる前に斜めっていた本をまっすぐに起こすなどゴソゴソ・・・

19日の日記で練習したシステムです。会場の、まだウェブカメラを使ったことがない方には、ステージに映し出されたパソコンの画面でリアルタイムの遠隔コミュニケーションを見て頂くことができました。本当に簡単でよかったですよ。このウェブカメラのシステムを持っている子育て支援ネットワークの「がじゅまるの家」では、これを利用した小児科相談をおこなっているとのことです。

私の後には、有名な岩手県のモバイル妊婦健診を活用し、沿岸地域の医療過疎を支えてきた小笠原先生が同様のシステムで岩手のネットワーク「いーはとーぶ」のことなどを紹介されました。

またそのあとには、ステージで高山先生がスタッフ男性の心電図や血中酸素飽和濃度をモニターし、鹿児島大学の先生がそれを読み取るというデモンストレーションもありました。

助産師さんの活躍。ALSO(Advanced Life Support in Obstetrics 「オルソ」と呼ぶそうです)という家庭医などを対象にした分娩取り扱いの教育。妊婦さんの情報をクラウドで地域の医療施設が共有するシステム。そしてインターネットの活用など、現在へき地で進んできていることがよくわかりました。

そして私がこのシンポでとても印象的だったのは・・・

基調講演をされた池之上克先生と、現在種子島のお産を島内唯一の産科医として支えていらっしゃる住吉稔先生のお二人は、かつて五つ子を育てた医師チームのお仲間だったそうです。

ニュースを賑わせ続けた五つ子の成長は、当時、日本の医学はこんな素晴らしい段階に達したのだということを示す象徴でした。先に先に、上に上にと進んだ時代でした。突出した一施設がどんどん先へ行く医療が、全体の希望だった時代でした。今、その先生たちが、その進んだ医療の光が影を作りかねない地域のために尽力されているのです。

住吉先生は、種子島で行政が出産場所の確保に本気で乗り出し初の公立産院を作った時、59歳という還暦を過ぎた年齢で島に赴任されたとのことです。そして今は、毎朝のように「種子島のお母さんたちをお守りください」と祈る散歩で1日を始めていらっしゃるとのことでした。その道から見えるいうあたたかい太陽の写真が強く心に残っています。

島のお産を守るということは、心意気のある、人間味あふれる方たちの結晶なのですね。感動しました。でも、こうした心意気のある方に綱渡りをさせてはいけないし、やはりシステム構築が不可欠です。

産科医不足で最も苦しんだ県のひとつ・岩手県が、今、日本中からモデルとされています。それは震災の時の立ち直りの速さにもつながりました。周産期医療の人間にとっては、この度の震災は産科医不足が深刻だった地域と不思議なほど被災地が重なっており、連続性のあるストーリーになっています。

お声をかけてくださった高山先生、いい機会をどうもありがとうございました。高山先生に『安全なお産、安心なお産−つながりで築く壊れない医療』を高く評価していただいて、本当にうれしかったです。 2011/11/26


出生前診断について1日学ぶ

この20日に、聖路加看護大学で、妊婦さんから質問を受ける現場の看護職を対象に出生前診断の勉強会があり参加してきました。朝から夕方真っ暗になるまでみっちりと、この分野をリードする先生方から学び、学生に戻った気持ちで必死にレクチャーを聞いてきました。出生前診断については何十回も記事を書いてはきましたが、こうして専門的な講義を受ける機会があると本当に助かります。

羊水検査や母体血清マーカーだけの時代と違い、今は超音波による画像診断が進んできたのでこの問題はすべての妊婦さんに関わるものになっています。海外では、超音波検査と母体血清マーカーの組み合わせによるスクリーニング検査が日進月歩の勢いで普及し、ダウン症の赤ちゃんの出生が減少しているようです。

この日は、講師の先生たち全員完全にボランティアだったとお聞きしました。全国の現場から集まった方たちも手弁当の方が少なからずいらしたかもしれません。

終わってから、ダウン症のお子さんを育てているベテランママおふたりと銀座のイタリアンでご飯しました。施設の先生からお聞きするのとはまた違う子育てのお話をたくさん聞くことができました。ワイン片手に、私も今まで気になっていたことをいろいろとおたずねすることができました。

技術の進化について本当に真剣に考えている方たちとの濃い1日でした。 2011/11/23


朝日の昇る前

ファン助産院のイメジェリークラスに参加された方から、時々お産の報告をいただきます。こちらは、この秋に出産された方から。

「お産中、イメージがいくつか湧いていました。
ひとつは青空にふわふわの白い雲が浮かんでいる風景
もうひとつは澄み切った空と一面の白い花が咲いてゆく風景、
遠く地平線には黄色から紫のグラデーションの色
朝日ののぼる前のような感じでした。」

こうしたお産の最中のイメージは、どこからやって来るのでしょう。それはきっと、心の中の特別なところから贈られるギフト。

すてきな空の景色を、ありがとうございます。とても可愛い赤ちゃんのお写真も。<>2011/11/20
177<>0<><><>WEBカメラを初体験<>今週は、種子島でへき地医療について話し合うシンポにテレビ会議システムを使って参加するための準備をしました。初めて仕事部屋でウェブカメラをつなぎました。練習で、手取り足取り教えて頂きながら、徳之島のNPO(特定非営利活動)法人「親子ネットワーク がじゅまるの家」につなぎました。あちらのお部屋にあふれる日差しも、空気も見えてとてもうれしかったです。

岩波ブックレット『助産師と産む』の取材では、岩手県の遠野で妊婦健診にこのテレビ会議システムが使われているのを見ました。産科医がいなくなった遠野市は、市内の助産師さんと釜石市の産科医をつなぐシステムを構築して市内健診を始めたところでした。

でも、こうして自分自身の仕事部屋と遠い南の島がつながるのを体験すると実感がまったく違います。その気になればもっともっと人はつながることができるんじゃないの?・・・医療にも、もっといろいろな形があるべきじゃないの?・・・そんな実感がわーっと湧いてきました。島の方たちのパワーにあやかり、いい体験をさせていただいています。

日本には、島内出産ができなくなった島がたくさんあります。できているところも綱渡りをしています。また、できればいいというものではなく、安全にできなくてはなりません。シンポでは、そのための試み−ITの利用や助産師さんたちの活躍など−が全国から報告されます。 2011/11/19


秋はにぎやかに

秋はにぎやか。

秋の朝は、色と光の洪水。

一年のうちで一番、東京の奥に住んでいてよかったと思う季節です。黄色や赤の紅葉の中を走ることができる幸せ。

これから先、この葉っぱたちが一気に落ちて舞い踊る中を走るのも大好きです。 2011/11/18


東京デザイナーズウィーク2011

先週は「心ここにあらず」の一週間でした。イラスト、デザインの仕事をしている長女が神宮外苑前広場で毎年おこなわれているデザインのお祭り「東京デザイナーズウィーク」に個人で出展したため。

彼女のブースは、イラストのプロモーションとして、右の写真のようなグラスやノート、マグネットなどに「絵付け」をして販売するというものでした。半年ほど前から準備をしてきたのですが直前はやはりバタバタで、親としては気が気ではありません。大学時代のお友達が手続きからブースの演出まで一緒にしてくださって親としてはありがたい限りでしたが、それでも、なんだかこの感情、「親として」というやつは、ホントにぺたぺたとまといつくものです。

で、なんだかかんだと私も働いたのでした。搬入、搬出には車を出し。会期中にも忘れ物を持ってきて〜と泣きつかれ。

でも、楽しい会場でした。若いクリエーター中心に「私の、僕のやっていることを見てくれ!」というアピールが繰り広げられる広大な会場。展示の場は貨物コンテナなどもありましたが、メインは広場に突如出現した巨大な特設テントです。

びっくりしたのは、外国人の参加者が多いこと。欧州から、そしてアジアからの若者も目立ちました。会場を回って久しぶりに英語を使いインターナショナルな気分になりました。

どちらかというと男性クリエーターが目立ったけれど、娘のように、若い女性の個人的なブースもいくつかありました。ノルウェーから来た女の子がサーモンスキンの革製品を売っていたり、原発事故に見舞われた福島からは地元のクリエーターたちを紹介する女性も。既存の組織の一部ではなく頑張っている女性を見るのは、いつもうれしいものです。

ひとつ会場に個人のブースもあれば、企業のブースもある混在ぶりがまた面白かったです。娘のブースの真ん前にはdocomoのものすごい展示があって、その裏で彼女は、路上イラストレーターさんかなという雰囲気でせっせと手描きのグラスを描き、売っているのでした。

私にもいい刺激になりました。娘もたくさんの出会いをいただけたようです。ですが、仕事って自分がやっている方がずっとラクですねえ。

娘のサイトです ↓

●平井さくらのホームページ
http://on-line.sakura.ne.jp

2011/11/09