最近、出かけなくてもいい日は、仕事時間の1時間を読書にあてている。今、熱中しているのが『マザー・ネイチャー』。今年の5月に出た話題の書だが上・下2冊の厚い本なのでちょっと手が出なかった。しかし、読み始めると、スバラシイ!本当におもしろい。
この本はひとことでいうと、生物学、人類学がこれまでに積み上げてきた生殖についての研究の成果をがんがん紹介してくれる、こたえられない本である。こんな知識を自分で集めたら一生かかっても無理だと思うが、この著者の知性はなんというありがたさ。しかも、笑えるくらい痛烈なユーモアつき。
著者は米国の学者で、3児の母でもあるサラ・プラファー・ハーディー博士。感心するのは、「母親とは何か」の問いに対して大変慎重に答えようとしていることだ。自分の主張にとって都合のいい事実をひろい集めるようなことはしないで、きちんと検証された事実を、サイエンスの手続きを経て提示しようとしている。だから、読んでいてとてもわくわくする−事実の力はすごい。
押し迫って出会った、今年最高の本! 2005/11/24