この秋不妊治療の専門医中心の学会にふたつ取材に行きました。そこで痛感したのは不妊治療の患者さんが急速に高年齢化しているということ。「これが現代の不妊治療の最大の課題」という言葉を何度聞いたかわかりません。
印象的な講演、研究がたくさんあったのですが、中でも高齢妊娠の方のためにぜひお話を伺いに行きたいと思ったのが名古屋の浅田義正医師でした。顕微授精の最先端を走り続けていらっしゃることや、また最近では卵巣に残っている卵子の数を推測する「AMH検査」の先駆者としても知られる方です。
浅田先生は、演台に立った姿を最初にお見かけしたとき、ご著書で見ていたお写真とは別人としか思えないほどスリムだったので、ちょっと目をクシュクシュこすりたくなったのですが・・・
連絡をとらせていただくと、私の『未妊−「産む」と決められない』を読んで下っていて、二度にわたってインタビューさせていただきました。
一度目は名古屋駅の本当に真ん前!のクリニックで。ビルは1〜2階がPLADAでその上にクリニックがあり、グラスタワー風の建物なので待合室は全面がガラス。空を飛んで名古屋駅前の賑わいを見ているような、ちょっとびっくりする眺めです。窓辺にはi-padを使って不妊について学べるコーナーもあり、ずらりと椅子・テーブルが並んでいました。
不妊治療のクリニックは便利でお洒落なロケーションが多いのですが、路地にそっと作られることが多いのです。それも、ひとつのこまやかな心遣い。でもここは本当にオープンで、患者さんがここで治療をがんばっていることに誇りを持てるような空間だと思いました。
そして、ここには「世界中の誰が来ても恥ずかしくない」と浅田先生が言い切るラボがあり、見学通路もあります。ガラス越しに手術室のレベルを大きく上回るきれいな空気を保つための空調、一個ずつ個別のドアを持つ胚凍結の設備などを見ることができました。
それらを見せていただいたあと、ここでの治療を考えているご夫婦を対象にした説明会を聞かせて頂きました。「自然に妊娠したいのは、誰でもそうです。でも現実はこのように厳しい・・・何が自然なのでしょうか。年齢が高くなれば、妊娠しないことが自然です。」
浅田先生が大切にしているのは「結果にこだわる」ことでした。そのために医師がまず自分の覚悟を伝え、エントリーしてくる人にも覚悟をはっきり求めているのがこのクリニックの特徴です。
ちなみに、浅田先生がスリムになられた理由も判明いたしました。キャベツダイエットでを実行し、今も続けているのだそうです。名古屋駅前にこのようなクリニックを作ってしまっただけではなく、ご自分の身体についても「実行力ありすぎ」です!、浅田先生。
二度目のインタビューは横浜で。前日まで学会があり、名古屋に帰る前のくつろぎのひとときに海を見ながらゆっくりお話させていただきました。
時を忘れてお話してしまったという感じでした。
私が聞いた質問は、卵子の世界のことや不妊治療に対するさまざまな考え方、見方について。先生の実に興味深かったアンサーの数々は・・・少しずつ書きます。あるいは、新著で存分に堪能してくださいませ。今はとても書ききれないほどです。
<写真> 中央が名古屋駅正面から望んだ浅田レディース名古屋駅前クリニックのビルです。
浅田レディースクリニック
http://ivf-asada.jp/
011/12/17