小鳥の巣を見つけた日

五月の連休、高枝ばさみで大きくなった庭木の剪定をしていたら、巣らしきものをしげみの中に発見。最初は蜂の巣かと思いましたが、ちょっと様子が違い、落ち着いて下ろしてみると、まぁ、何とも可愛らしい小鳥の巣でした。

手のひらに収まるほどの大きさなので、とても小さい鳥だったのだと思います。昨年使用していたものらしく、もう何も入っていなくて、お掃除をしたようなきれいさでした。枝に巣をとりつけるには自然素材ではなくビニールのひも(写真では手前の部分)が使われていて「おお、小鳥も化学製品の丈夫さがわかるのか」と感心しました。

うちにいた子なのでひいき目になるのかもしれませんが、お椀型の丸みも驚異的にきれい。こんなものが嘴だけでできるなんて信じられません。すごい賢いお母さんだったと思います!

そして実はこの巣は、この巣を見つけた、まさにその日に叔父が亡くなったので、お花のひとつと考えて棺に入れてもらいました。

私は以前、この叔父から、野鳥や野草のことをよく教えてもらっていました。

兵庫県の丹波が出身地で、野山に育った叔父は、家庭環境が複雑だったこともあってとても長い時間を山野の中で過ごしたそうです。

何度か一緒にピクニックに行きましたが、もう、この叔父はどこでも降りて行っちゃうわ、と思えば今度は登っちゃうわ・・・そして、この人には知らない植物、知らない鳥はないのでは?と思うほどの博学でした。食べられるもの、お茶にできるもので、帰り道は袋が一杯になりました。丹波にも行きましたが、そこは、もう、見たこともない大自然! 毎日が夢の中のような日々でした。

東京の郊外に住み、80代で亡くなるその日まで、愛犬の甲斐犬と近くの山を歩いていた叔父。私は、自分は自然や動物が大好きだけれど両親は戸外の遊びにまったく興味がなかったので、思えばこの叔父の影響がとても大きいと思います。

少子化で、きょうだいがいない人が増えていますが、これは叔父、叔母、いとことなどの親戚もいない子どもたちをたくさん作り出しています。私たちのような高度経済成長時代に育った世代は祖父母世代がまだ子だくさんだったのでさまざまな大人とふれあいながら成長することができました。特に私は母親が忙しかったのでいろいろな人の家で暮らした経験があり、そのことを本当によかったと思っています。

叔父には、本当にたくさんの楽しい特別な思い出をもらいました。

ありがとう、おじちゃん。
 2012/05/18