冬至の日に高尾山へ

今年1年の仕事をふりかえるといくつか新しいことができたような気がします。

ひとつは盛夏に開催したカンガルーケアの講演会。周産期医療全体の一部としてNICU(新生児集中治療室)の取材はしてきたものの、お産を赤ちゃんの側からじっくりと見ることができたのは、私にとって初めてのことでした。初めての新生児関連の会でしたのに、新生児医療のそうそうたる先生方が来場してくださり、あるいは海外から情報提供をしてくださり、先生方の情熱に胸が熱くなりました。

また婦人科にトライ、の年でもありました。頸がん健診にさまざまな論争がありましたが、私も頸がん予防の実情を取材して日本の予防医療の遅れに驚きました。高齢出産が増える今、妊娠したら、ぜひとも知って欲しい「女性医療」の知識。いや若い女性だって、現代は健康が早くからおびやかされていることを20代の子を持つ身としてはつくづく感じています。来年も引き続き、女性の健康の全体をやってみたいと思っています。

さて私は、師走の慌ただしさの中でいきなり小休止となる天皇誕生日という祝日が大好きなのですが、今年は冬のお日様とたっぷり触れあいました。マスコミ関係者にもファンが多い山梨のほったらかし温泉というところで、山頂のお湯にて冬至の翌朝の太陽を浴びてきました。

また前日にも休日出勤続きだった夫に代休をとってもらい、この日は以前から静かな平日の高尾山へ行く計画を立てていました。

薬王院に到着し、山門をくぐって本堂に。そこで小さなろうそくに火をともすと法螺貝の音が近づいてきて、ちょうど御護摩が始まりました。

山のお堂にお経が響き始めるのをあとにし階段を降りかけると、半ばにある一本の大きな杉の木にまっすぐ陽があたっていて、その木肌からもうもうと水蒸気が立っていました。朝まで降っていた雨が、また広い空に帰っていくところでした。

木肌にそっと両の手を触れると、しっとりとして、それはあたたかく、木も私も生きているものどうしだという共感でいっぱいになりました。階段を降りて見ると、この木にはしめ縄がかけてありました。ご神木だったようです。

この日の朝はREBORNブックサービスのしほっちのお父様の弔報に接した日でもありましたが、遠くからお祈りさせてもらいました。

この木には、また会いに行くと思います。

思えば、私の父は来年30周忌かもしれません。年末の墓参で石に書いてある数字を見てこようと思います。メモリアルというだけあって、お墓ってすごいメモ。
 2010/12/24