「超バカの壁」

『未妊−「産む」と決められない』は養老先生の著書に影響を受けていますが、昨日買った「超バカの壁」にも「子どもの問題」という章がありました。最初の5行で、私が『未妊』で何十名もの女性や統計に裏を取ったことが書かれていた気がしました。

「少子化と都市化は一体の問題です」というのが養老先生の選んだ言葉です。都市化とは、核家族であるとか、箱に仕切られた個であるとか、人の関係性の変化がここから起きていったのです。ここから、子ども、親子、夫婦、近所の人間関係といった人間関係が根こそぎ変わっていきました。

都市化は工業化で始まっています。社会が子どもが受容できたのは第二次産業まででそこから先の世界には子どもを育てる器が家庭にありません。物理的に昼間の家が空っぽだし、伝えるべき家業がある家もめっきり少なくなり、本当に、今時子どもを産むというのは趣味か、理想の主張か、現代への抵抗か‥‥あるいはできちゃったっていうことだと私なんかも思ったりします。

でも、子どもはできてしまえば何とかなるし、楽しいので、大変な分は補ってあまりあります。やはり、大人だけで今の都市に生きていくのはあまりにも現代的すぎるというか、ちょっと不安な気がします。それで、子どもも生まれてきて楽しそうだし、おたがいに楽しいので産んでよかったな、と。

今という時代に子どもを産むべきかどうかというのは、その程度の認識がバランスいいのかな。ひとつ間違うと、趣味に過ぎたり、理想的なことを考え過ぎたり、反抗精神強すぎになったりするかもしれません。子どもを育てている人も、自分は産んでも所詮あさましい都市生活者なのだということは忘れない方がよいと思います。 2006/04/11