墨東病院の報道で喪中モードから目が醒め、ちょうど1ヶ月です。私がこのニュースを聞いたとき、真っ先に頭に浮かんだのは「氷山の一角」という言葉でした。
それからしばらく私が感じていたのは、社会が受けている衝撃と医療関係者の「どうしてそんなにことを今さら騒ぐのか」といった落差でした。医療がうまくいっていないことに、産科関係者はだんだん慣れてしまっています。
でも、あれから1ヶ月・・・たくさんの医師にインタビューし、懇談会やセミナーに行ってで取材を進めるうちに、状況はまた一段と悪くなってきているように思いました。今日もこれから神奈川県立こども医療センターに行きますが、ここ神奈川では話題に産科救急システムがいちはやくできていたし、医師会にはコーディネーターもいます。しかし、県外搬送が一年に70〜100件もあり、その半数が搬送時間2時間を超えています。
墨東病院の一時間半は、このような地域にとっては「割と早かったのでは」という感覚を持たせる時間なのです。
脳出血も、今や産科疾患ではほとんどお母さんが亡くなることはなくなった中で、おそらく妊婦死亡の第一位であろうということでした。
あふれるNICU(新生児集中治療室)、産科疾患死亡の減少と他科疾患の増加・・・医学の発展はさらなる医療資源を求めますが、人口は減少し、経済は縮小しています。
来春あたりに産科医療のジレンマをまとめたいと思って動き出しています。 2008/11/21