All About「出産医療・産院選び」で、食生活についてのコンテンツを作っています。その取材対象のおひとりにお会いしてデータをいただいたのですが、日本の若い女性の「やせ願望」はどんどん強くなっていることが如実に出ています。
20〜29才では、指標であるBMIが「やせ」とする範囲にある女性の1割が、自分を「太っている」と自己評価しました(厚生労働省健康局調べ)。このような集団的なやせ願望は欧米には見られない我が国独特の現象で、しかも男性にはない。ここが私には激しく興味津々になってしまうのです。
私は「極端なダイエットは生理が止まっちゃう!妊娠中であれば赤ちゃんが小さくなってしまったり、飢餓を感じて将来成人病になる確立が増えてしまう!(成人病胎児期発生説「バーカー説」→詳しくはこちらで http://allabout.co.jp/children/birth/closeup/CU20031109/ )」と書いてきました。だから、このようなデータには真っ先にまゆをしかめ「もーお。最近の若いもんは」と言いたいところなのですが‥‥
興味津々になってしまうのは、これが何を意味しているのか、というところでいろいろな理由が浮かんでしまうからです。
やせ願望の強い女性たちは、「やせてかっこよくなりたい」と思っているだけなのか?ほとんどの人がそう自覚しているとしても、その身体の奥底にある深層心理には何かないのか?たとえば、急に大量の肉食を始めてどんどんふとってしまった上の世代の反動はないのか。
「もっと食べたい。貧しいアジアはもういやだ」そう思って日本人は豊かになってきたけれど、肥満が増え、身体は不幸せになりました。それを見てきた、若い世代がこう思っても不思議はない。「食べるのって、なんか、ヤだな」
食料は、地球規模で不足に向かっている。この、大きな視野に立ったとき、若い女性が、我が身の不幸かえりみず、やせ細り、生殖パワーを減少させるのは皮肉にも「地球にやさしい」。
これからアジアの国々が次々豊かになり、日本のように大量の食料を消費するようなったら、耕地がとてもではないけれど足りないそうである。特に肉の消費拡大は家畜が食べるだけ作物も消費拡大するのであり地球の資源を激しく消費する。
この不思議な不思議な、世界に類を見ないという「痩せ願望の一群」。あなたたちが立ち現れたのはある意味で正しい、と私は密かに思います。この現象を、男性は表さず、女性だけが表しているのもおもしろい。
ただ「痩せ」の質が問題で。昔の日本人のようにこの自然風土にふさわしいものをしっかり食べ、細いのにパワフルなボディを作れるのなら、おそらく生殖機能にも悪い影響が出ず、理想的なのだろう。2005/04/27