2005年05月一覧

岡本正子さんのお釜

東京・国分寺の矢島助産院などで妊婦さんや育児中のお母さん達対象の料理教室を開いている岡本正子さん。写真は、その岡本さんが結婚以来毎日ご飯を炊いてきたというお釜です。ピカピカに磨き込まれていて、ああ、本当にいいなあ。これを見ているだけで、岡本さんの心が伝わってくるの。

「蓋は2代目なんですよ。でも、先代のふたも、そういうものは捨てる物じゃない、って思ってとってあります」(岡本さん)

岡本さんのことは、今春出たご著書『自然のお産献立ブック−矢島助産院ウィメンズサロンの安産・おっぱいレシピ』(自然食通信社)を送っていただいたご縁で存じ上げました。折しも、断食直後のことでした。食に対する関心が、倍加していた時でした。

実は私、かつて『お産選びマニュアル』の企画書書いたとき、『助産院ごはん』の本というものも企画したのでした。私にとって、助産院出産での体験はご飯体験でもありましたので‥‥でも「いまどき、総頁カラーで安価な料理本を山ほど作っているB社などにはかなうはずない」と通らなかったのですが。

でも、今回は岡本さんにお願いして、All About「出産医療・産院選び」の食のコンテンツを作らせていただいています。

今日はおすすめレシビ集の取材をしました。この日、このお釜で炊いていたのは、炒った黒豆を炊き込んだご飯。炊きあがったら飯台にガーッとあけて、寿司酢を混ぜると、みるみるうちに、ぴかぴか輝くパープルのご飯に。「黒豆のお寿司」のできあがりです。

ウチウマやスタッフ日記で料理マニアぶりを全開しているREBORN宮下も誘って行き、手伝ってもらいました。それにしても、岡本さんと宮下さんの食材のお話は濃かった。あやしかった。ふたりの話を聞いていると、『中国大陸・謎の乾物発掘の旅』なんていうすごい本のイメージが浮かんでしまうのでした。

ご飯作りが好き、ということは、幸せね。

人生をグンと楽しくする極意のひとつですね。岡本、宮下両師匠に、私もついて行きたいと思ったのでした。

All About「出産医療・産院選び」
岡本正子さんのマタニティ薬膳(1)高めよう!食べ物の「選択能力」
http://allabout.co.jp/children/birth/closeup/CU20050531A/index.htm
2005/5/30


仕事中の音楽

ヴェローゾのことを書いたので、音楽のこともう少し。

私、会社勤めをしないフリーの人間は何がよいといって、仕事中に好きな音楽をかけられることだと思うのです。他には急に雨が降ったとき洗濯物をとりこめるくらいでして。

以前、文春かなにかで仕事中の音楽をいろいろな人があげていました。その時の一位が、確かモーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」でした。

私も「今日はキメルぞ〜!」と思った日は、オペラです。でも私はビゼーがすごく好きで、マリア・カラスとパリ国立歌劇場管弦楽団の「カルメン」をかけます。

同じく、高揚を求めて、もう本当にガーッと生きたいときは、ヴェローゾと同じくブラジルのカリスマであるミルトン・ナシメントの「ミラグリ・ドス・ペイシェス」。

肯定的な大きな気分になりたい時は、ベートーベンの田園交響曲です。キース・ジャレットの「ケルン・コンサート」は空気をキリッとさせる一枚。それから、ジョニ・ミッチェルは、どれも本当に素敵だと思う。

毎日こんなのをかけているわけではなく軽く聞いている日が多いんですが、ときどきは、こんなのを大音響でかけてお仕事してます。 2005/05/27


カエタノ・ヴェローゾ東京公演

私の仕事部屋にあるCDはほんの数10枚。かつて音楽カメラマンだったころの1割にも満たないほんの少しの音楽なのだけど、いつも手元から離したことはない、この人−カエタノ・ヴェローゾ。

昨晩は、そのヴェローゾの東京公演に行きました。会場の国際フォーラムは、久しぶりに感じる「ミュージシャン率高いな」という雰囲気に包まれていました。

公演は素晴らしかった。日本のサンバは、悪いけれど、サンバではない。ボサ・ノヴァはボサ・ノヴァではない。ヴェローゾのバンドはかなり知性派なのだけれど、底に流れるラテンのリズム、それは熱い吐息、愛そのものです。みんなヘンに洗練されている東京にはない、そういうもの。

英語の歌もたくさん歌うのですが、やはり、ブラジルの歌が秀逸です。ポルトガル語は何を歌っているのか全然わからないんだけど、でも、すごく感動する。

となりにすわっていたブラジルのおばさんが、感極まって「わーーーっ」と叫びだした。ブラジルの人たちは、自分の愛する人のことを思い出しながら彼の歌を聴いていたのだろうか。私も、歌詞わからないけれど、そうだった。

まことにアツアツな一夜でした。終演後は夫、長女と銀座でワインを飲み、まだ火曜日だというのに午前様しました。 2005/05/25


成功するか?読書計画

うちの夫は、あほほど本を読みます。1日1冊読む日も多いらしい。例えば村上龍の『半島を出よ』を読もうと思ったら、どうせなら村上龍の全タイトルを読んでから読もう、と思いついたりして実際にがんがん読み進んでいる。

もう少しボーッとした人だったら、私は彼の読書時間も読書代も恨んで「本なんか読んでないで、家事してよーっ!」と叫びながら暮らしていたことでしょう。

でも私は、夫には本を読ませておき、生き字引として使った方が私のトクになることを悟っているのでした。それにしても私だって、本当はもっと本が読みたい‥‥。

それで夫に相談すると、読書リストを作るとよいのだ、という。そういえば本棚には「積ん読」になっている本がたくさんあって「ああ、読む時間が欲しい」と漠然と思っているのだけれど、一体どれくらいの本を自分が読みたがっているのか把握していませんでした。

これで厳選だ、と思ってリストアップした本は実に31冊!読めるか?!

「仕事柄いちおう読んでおかなくちゃ」というものから、「これは共に生きていく本になるかも」と予想される本までいろいろですが、本はいつでも、一冊読めば自分の中の何かが生まれ変わります。いっぱい生まれ変わりたいものです。

リストアップされた本は一箇所に集め、棚にリストを貼って読んだものから消していくことにしました。さあ、読破は成功するか? 2005/05/21


「ご安産一座」医科歯科公演

「ご安産一座」というのを、年に1回、東京医科歯科大学でしています。これは今を去る10年前、「いいお産の日」第2回で会場に分娩台を展示しようと決まったとき、助産師ネットワークJIMON(ジモン)で日赤医療センター助産師の中根さんと悪ノリし、始めました。

「分娩台とか、産科の機械とか展示するけれど、解説したいよね」「ただ解説するだけじゃおもろないよねえ」「じゃ、お産しゃおうか」

‥‥まあ、そんな風に始まったものなのですが、結局、分娩台のお産よりも、その続きにプラスした「たたみ上でのフリースタイル出産」編がウケました。以来、全国各地のお産イベントにジモンの助産師さん達が出張公演に行ったり、イベントの1つの定番出し物として模擬分娩が根付くことになるのです。

一応、元祖「ご安産一座」である私たちの今の対象は、看護師さんになる学生さんたち。授業の一環としてフリースタイルの出産劇をやっているのです。キャストは産婦役は賛育会病院の助産師さんでやはりジモンの中沢さん、助産師役に中根さん、口上役が私です。

中沢さんが大きなお腹にTシャツとスパッツ姿で現れると、学生さんは「おーーっ」と大喜び。しかし、すぐに窓のブラインドが降り、天井の電灯が消え、暗い中で産婦のうめき声がしてくるとみんな神妙な雰囲気に。

今は男子学生も看護のクラスにひとりはいます。彼は、いきなり産婦に呼ばれ、夫役になる運命にあります。

いよい産まれそうになると、学生さんたちはバババと集団で走り寄ってきて、お人形が産まれてくるところを嬉々としてのぞき込みます。その時の、みんなの大きく目を見張った顔がイイです。

そのあと、フリースタイル出産について、助産院や助産師について、夫立ち会いについてたくさんの質問攻めを受けて、けっこう大興奮のうちに授業が終わります。

私たちにとって、フリースタイル出産はもう長いおつきあいです。ご安産一座で中沢さんが産んだ子はもう100人くらいだとか。でも、いまだに、こんな看護の道に進もうという人たちさえこうした教育で初めて「分娩台がなくても産める」と知る、そんなケースが多いのです。

お産が変わるというのは、自分のお母さんのお産話が変わり、テレビのお産シーンが全部変わってようやく何とかなるのでしょう。

中沢さんは、あともう100人くらい産まなきゃ、かもね。

<写真>クラスマックスに向かうご安産一座。 2005/05/12


クールビズこそ少子化対策

雨。暑苦しい日があまりなくて、「ノーネクタイ、ノー上着=クールビズ」のテレビ写りがいまいちだ。でも、期待しています。日本はもはや亜熱帯気候なのですから、あの夏のビジネスマンの服装は本当にお気の毒です。

また、私のような商売の者は、スーツに合わせてきつく冷房したオフィスにいる女たちを心配せずにはいられません。ふつうに夏の格好をする自由がある女性にとって、夏のオフィスは身体の芯まで冷える場所。帰宅後、身体をあたためるアロマテラピーやら入浴剤やらをしてみても追いつかず、冷たい足してなかなか寝付けない人もいるのです。

「冷え」は、妊娠したいと思っている女性も、妊娠させてくれません。少子化が進んだという話題は「国のことを考えて産んでくれないと困りますなあ」などと女性には聞きたくない、絶大な逆効果がある発言が繰り返されるだけ。でもクールビズは、とってもよいと思います‥‥もし、ほんとに冷房が弱くなれば。

それにしても、もう少し見栄えのいいクールビズがテレビに映るといいな。ここは、日本中のスタリストさんが立ち上がり、政治家、財界人についてほしいところ。私は、アジアンなテーピングのあしらいがあるスタンドカラーシャツとか、渋色のビンテージものアロハなんかすごくいいと思うんですけど。
2005/06/10


今年のゴールデンウィーク

ゴールデンウィークはすばらしい。誰かが「日本人はバカンスもせず働き過ぎだというが、こんな最高の季節に一週間も休む国はない」と書いていたのを毎年思い出している。

今年のゴールデンウィークは、入る前の仕事がゴシャゴシャでなかなか眠れず、きつかつた。それで、毎日を「やりたいと思っていてできなかったこと」をひとつずつしていくゴールデンウィークにしようと思った。

初日は起きるとすぐに適当な弁当を作り、家族数人連れて近場の緑地へ。木陰で降るようなグリーンのシャワー、木漏れ日と風を浴びながら5月を満喫。

その他にしたこと。

持っている料理本の中でも選り抜きの3冊を選び、何品も作った。

初めてぬか床を作り、ぬか漬けを始めた(まだ美味しくないけれど、ペットのようにかわいがっていると次第に美味しくなるらしいです)。

「マイドキュメント」のホルダを整理して全部バックアップをとった。

そして、最近がんがわかった大好きな叔母を訪ねることができた。自宅に帰れて、親戚数人でとてもなごやかな時を過ごすことが出来た。

今年のように落ち着いてゴールデンウィークを一日、一日過ごせたことはないかもしれない。 2005/05/06