『大腰筋』というインナー・マッスルがテレビや雑誌で話題になっていますが、わかりやすい名前の筋肉です。今や夜な夜なたっぷり半時間もヨガする人になっている私は、「どうれ」と大腰筋のエクササイズもやってみました。「その場で足を90度上げて足踏みを200〜300回」とか、寝て10回足を上げ下げしたりするものです。
ヨガ、空手、大腰筋のエクササイズは、それぞれ使う筋肉は近く健康法ととらえ得ます(空手はちときついですが、まあ、そうとらえられないことはない)。が、まったく違った思想があることが浮き彫りになり、おもしろいです。
面白さで言うと、大腰筋エクササイズは「誰にでもできる」を追究したせいか、単調な繰り返しなのでち−とも面白くありません。ヨガのような快楽物質も出ないので、ヨガをしている人には、ご褒美がない感じ。効果が体型、体力についてのみ説かれているところも、何かこう、即物的でロマンがない。
その点ヨガは、世界平和などを夢見ていますので、壮大なロマンがあります。
その代わり、ヨガはその精神性ゆえ「宗教的でついていけない」と思われたりします。ポーズも、「な、なにしんての‥‥アンタ」と慣れない人をギョッとさせるものが。
空手に至っては、あやしいばかりか、怖がられます。
四方を敵に囲まれながら素手で敵を打ち砕く技ですから大変なロマンですが、これは、まったくもってご家庭向きではありません。狭い家の中で練習すると、家族をどついてしまったりして迷惑きわまりない。上級者の真剣な気合いなんかを聞いた日には、もう。
このように考えると、あやしくもなく、怖くもなく、畳一畳もあればできて、音もしない大腰筋エクササイズは、誠に現代人にふさわしい洗練されたものです。
でも私は、やっばりロマンがないとだめみたい(もちろん、大腰筋エクササイズもよくできていますが!)。 2005/06/16