生まれ変わる季節

今年は東京に11月の雪が降ってくれて、冬至に向かうきれいな空気が一層澄みわたりました。年の瀬は多忙を極めるバタバタな季節とされていますが、本来、新しい太陽の生まれるこの季節は、一年の中でも一番ピュアな気持ちになれる素晴らしい季節だと思います。

今日から12月。12月始まりの来年の手帳をおろして。さらに今年は、デスクトップのコンピューターも新しくしました。信じがたいコスパで、非常にスペックの高い国産コンピューターを購入。ちょっとご無沙汰していてたWindowsに再会です。

30年前に活動していたフィルムの音楽カメラマンが初めてデジタル一眼を手にし、助産院や産科病棟にカメラつきでうかがうようになってから一年がめぐりました。デジタルカメラに戸惑いは山ほどありましたが進化したカメラにはうれしいことの方がはるかに多くて、たくさんの妊婦さん、産婦さん、赤ちゃんや医療者の方々を撮り、お産待ちの日々がかなりの日数となりました。今月になって仕事も「文と写真両方で」という形で依頼をいただくことが増えてきました。企画の全体監修と撮影、という、ちょっとこれは珍しい形だろうなあというご依頼もあります。

写真にはたくさんの可能性があります。日本の出産は、写真の力をほとんど使っていない・・・。海外の医療系サイトには、それは美しい、エモーショナルな映像が大量に使われています。日本のインターネットにもこれから出産の美しい映像と、そして正しい情報があふれますように。

2016年12月1日


松下政経塾にうかがう

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「出生前診断を通じて、子どもをもつとはどういうことかを考える」

そんなテーマで合宿を行いたい、と松下政経塾の塾生さんからメールをいただいたのは春のことでした。松下政経塾は塾生自身が立てた計画で学び、講師も塾生が決めるのだそうです。

準備にも少しずつ協力させていただきながら、茅ヶ崎にうかがう日になりました。講義の前に、まず塾の中を見学させてもらいましたが、塾生が毎朝掃いているという構内は、どこも塵ひとつ落ちていなくて清潔そのものです。建て物も植栽も、ひとつひとつに意味が込められていて、塾を開いた故・松下幸之助氏がどれだけこの塾に熱い思いをもっていたかが偲ばれました。

一番印象的だったのは茶室です。その床の間に掛けられていた書には「素直」と書かれていてハッとさせられました。これが、人の心の在り方として一番大切なことなのかもしれません。

本館に入って正面に掲げられた書には「道」とありました。

本当にすがすがしい空間でした。

講義は、「出生前診断とは何か」といった部分は下準備をしていただいていたので、冒頭から、本質的なところをお話しさせていただきました。また、講義のあとのグループ・ディスカッションもオブザーバーをさせていただきました。出生前診断は「あって当たり前」の世代。悩ましい気持ちになること同じだけれど、高度なテクノロジーに囲まれて大きくなってきた若い世代には、その悩ましさを超える力も在るように感じました。

2016年9月26日


『不妊治療を考えたら読む本』出版記念講演会

9月10日、『不妊治療を考えたら読む本』出版記念講演会が開催され、私はこの本を書くに至ったいきさつや共著者浅田先生との出会い、執筆中の印象に残っていることなどをお話ししました。

お話をいただいてから約一年。昨年の年の瀬に浅田先生の医師向けセミナー、クリニックの培養室などの取材をさせていただいてから季節はめぐり、今はもう秋がすぐそこまで来ています。

赤ちゃんが生まれる場の取材を長くしてから不妊治療を取材し始めた私にとって、もともと成功率が低くて、うまくいかなくてもとがめられにくい不妊治療の世界は不透明に思われたものです。いまだにその感覚は消えません。この感覚は悪いものではなく、不妊治療をよくするために大切なことだから、大事にしておこうと思っています。

でも、この日は浅田先生の「ひとりでも多くの患者さんを妊娠させてあげたい」という気持ちを皆で共有。心がひとつになりました。私は今回の新刊で、共著(分担執筆ではない)という作業を通じ、とても豊かな体験をたくさんもらいました。

2016年9月14日


下伊那の1日

長野県下伊那郡へ講演に呼んでいただき、行ってまいりました。特急はまかいじの車窓は一面の綠と真っ青な空、真っ白な雲が本当に夏らしくてきれいでした。

企画してくださったのは結婚相談所「愛ねっと北部」の所長・吉田さんという方。会場までの車中から、今の地方はいかに若い人たちの労働環境が厳しく(働く場が少なく、収入が少なく、労働時間が長い)、都市部への流出が激しいというお話を聞きました。

吉田さんいわく、男性は「家を継ぐ」という考えから地元に残りやすいけれど、女性は出て行きやすい。その結果、日本では女性は都市部に集まり、郡部には男性が残る。これは、都市部では、女性が農村部の男性と同じ状況になっているということですね。それで吉田さんたちは、都会の女性がやってきてこの地域の町村に住む男性と農業体験などを楽しむイベントをおこなっているそうです。

講演は松川町、高森町、喬木村、豊丘村、大鹿村と5つの町村が後援してくださって、吉田さんたちが作成したかなり大きなポスターが町のあちこちに貼ってありました。大変手をかけていただいていて、本当に申し訳ないくらいです。

会場には、下伊那で産科医が減っていく危機感から作られたお母さんたちの会「心あるかあさんの会」の方たちも、来てくれました。伊那は当時も今も、産科医不足に悩み続けている地域です。不妊を専門に診てもらえる先生も、地域の中には見つけられないとのこと。

開催地よりさらに山の方から来て下さった妊婦さんがいたのですが、お住まいの地域では、お腹の赤ちゃんと一緒に学校に上がる子は3人だけだそうです。妊婦さんは大変希少な存在・・・。

幸い、会場にははぎもと助産院の萩元さんをはじめこの地域を支えている助産師さんたちも来て下さっていたので、この妊婦さんは助産師さんとつながることができました。「やったー!」と喜んで帰られたこの妊婦さんの姿を見て、みんな、とても幸せな気持ちに。

汽車の時間が迫り、松川町フルーツ街道のまるおか関農園さんというお店に一瞬寄っておみやげをいただく。ここでもポスター発見、吉田さんのネットワーク力はすごい。

下伊那の皆さまに改めて感謝申しあげます。

今は結局日本中が結婚しにくく、結果的に、自然豊かな地でも晩産化対策や不妊治療のニーズがどんどん増大していることがよくわかりました。

2016年8月21日


コンビミュージアムに感動

80’s、90’sに子育て真っ盛りだった方は、これら、すごーく懐かしくありませんか?
仕事でコンビさんに行ったら、玄関ホールにコンビミュージアムというものがありました。「一定以上の年齢の方は皆さん喜ばれます」と担当の方に言われましたが、私はもうなりふり構わず喜びました。
かわいい、本当にかわいい。
20代の娘に写真を送ったら一瞬わからなかったそうですが、見ているうちに記憶が検索され、この車で遊んだ時の楽しくてしかたかがなかった気持ちが蘇ってきたそうです。

2016年8月2日


妊活漫画家のポテ子さんと

不妊治療を「受ける側」からリアルに伝えてくれる妊活漫画家・赤星ポテ子さん。「あ、この治療を受ける時ってこんな気持ちなんだ」と教えてもらうことがいつぱいある漫画家さんですが、そのポテ子さんが『不妊治療を考えたら読む本』を紹介してくださいました。写真は、『出生前診断』が出た時にポテ子さんが会いに来て下さり、お互いの著書をもって撮ったもの。こうして、不妊治療というものの現実をよーく知っている方から本を認めていただくのはとってもうれしいことです。

◆「不妊治療を考えたら読む本」-子宮を温める暇があるなら、すぐにやめて読んで欲しい本

「不妊治療を考えたら読む本」-子宮を温める暇があるなら、すぐにやめて読んで欲しい本

2016年7月30日


夏の助産院

久しぶりにファン助産院で妊婦健診の撮影。夏のお産は大変だけれど、みんながんばれ。

2016年7月28日


宝島社「GLOW」9月号で

宝島社「GLOW」9月号でコメントしました。
40代向けの女性誌ですが中がとても可愛い「GLOW」。19歳の娘が.これ本当に40代の人の雑誌なの、私らにちょうどいいよ、と喜んでいましたが今の40代ってホントにそうですよね。かく言う私もアラフィフももはや越えアラではなくなっているというのにこの19歳と服の共有が・・・あります。けっこうあります。
そんなこんながあって、「40代で産むのって大変ですか」というこのような特集が必要になるわけですね。『40歳!妊娠日記』(文藝春秋)を書いたイラストレータ・エッセイストの太田垣晴子さんをはじめ何名かの40代出産体験者が自分のリアルなケースを語っています。

2016年7月27日


ロケットスタート

『不妊治療を考えたら読む本』(講談社ブルーバックス)が、発売と同時に「妊娠・出産」「不妊」「ブルーバックス」3部門すべてで1位のロケットスタート、そしてなんとも最高のレビュー!
ありがとうございますー!
本はいつも、出てからレビューが出てくるまでがどきどきします。私の本は、世間でよく書かれていることとちょっと違うことを書くので本当にどきどきするんですよ、いつも・・・。
ですから、こうしてどこかのどなたかに愚直な仕事を評価していただくことで、私は人間を信じて、社会を信じて、働いていくことができます。
夜ですけれど、心に大きな虹がかかった今夜☆

2016年7月23日


早稲田大学オープンカレッジ「出産の戦後史」

私は学者さんのように歴史を語ることそれ自体を目的として研究活動をしたことはありません。でも、出産のどんな側面を書くにしてもそのテーマに特化した戦後史年表を作りながら本を書いてきました。なぜ高齢出産が増えたのか、なぜ少子化が起きたのか、なぜ産科医は減るのか・・・こうした話はとても複雑に歴史が関わっていて、どれもがひとつずつ特別な年表を必要とするテーマなのです。

早稲田大学オープンカレッジの講義「出産の戦後史 お産婆さんから生殖補助医療まで」が終わりました。来て下さった方、広報にご協力くださった方、ありがとうございました。

講座が開かれた八丁堀校は、昭和初期に建てられた「京華小学校」という学校が使われていました。昭和モダンの雰囲気が素晴らしく、そして生声がよく通る、教壇に立った先生たちもさぞ授業がしやすかったのではないかと思われる重量感のある建築でした。だいぶ前に廃校となり、しばらく廃墟だった時期もあったようですが今は上がオープンカレッジ、1階は町内会が入っていました。いつまでも、こういう美しくて堅牢な建て物には現役でいてほしいな。

妊娠・出産をこのオープンカレッジがとりあげるのは初めてのことだったようです。出産関係者や学生さん、一般の方など熱い方々16名にお集まりいただき、70年間の流れに今日の出産の根っこを探った充実の2日間でした。

2016年7月23日