少子化対策とサッカー

日記が少し間があいてしまいました。しかしこの5月、6月と『未妊−「産む」と決められない』関連の報道と、産科医不足問題の報道の関係で新聞、雑誌、テレビ‥‥非常にたくさんの方と出会い、発言してきました。産むことがこんなに集中的に論じられたことってかつてあったでしょうか。

そして昨日、政府の少子化社会閣議決定があり、今回のメニューについてテレビ東京の夕方のニュースで「こんなでは産めない」と話してきました。ふだん女性たちがみんなで話していることをそのまま話しただけなのに、政府の決定に対して電波で言いたいことを言うには某かの勇気は要るんだ、と感じる体験をしました

でもやはり、少子化社会対策会議は、経済界の方に顔が向いていると、私は思います。また少子化対策が限りなく老人対策であるというのが日本の家庭支援の特徴です。そこが女性たちの心をとらえられない理由だと思います。

きちんと別々にやっていかないと、出版風に言うなら「ターゲットがぼやけた状態」にならないかと思います。また、まっすぐゴールに向かえないこの感じって‥‥そう、まさに先日のクロアチア戦ではないでしょうか。この数日、やはり、中田選手のあの一本のゴールを繰り返しイメージしてしまいます。決まらなかったけれど、あの、ストレートにゴールへ向かう一筋のシャープなエネルギー、これが今の日本人のニガテなんだと思います。 006/06/21


羊のドリー

連休が終わったら急に「‥‥梅雨?」と思ってしまう東京です。

家でいま取り合いになっているもの、それは元ちとせの新しいCD「ハナダイロ」です。昨年の夏日記に書いた「死んだ女の子」が収められているという大変なものですが、一曲目がまた大変なのです。タイトルは「羊のドリー」。

‥‥先からつま先まで
すべてみんなと同じ
だけどドリーはつくりもの
メイメイ泣いて尋ねる
私は誰って鳴いてる‥‥

REBORNは、実はドリーのニュースが最初に流れたとき会員にご意見を聞くという特集をしたりしていたのでした。議論が盛り上がる、というわけにはいかなかったけれど、ともかくビビッと反応した、ということがありました。きくちがともかく興奮して、宮下と私は、特集のイラストの打ち合わせをしながら「クローンの人がもしたくさんでくたら、きっと同じクローンさんの友達を強く求めるに違いない」というようなイメージを繰り広げたのを覚えています。

‥‥ドリー
真綿色の髪をなびかせて
風の音をずっと聞いてる‥‥

この曲は、作り出されたしまったものがモノではなく命であるが故に心がある、その心が感じてしまう悲しみを歌っているような気がします。

生き物には心が入る。生き物を作ったらいけないのは、そこに心が入るから。心がどこから来て入るのかは分からないけれど。

中毒して聞き続けていますが、下の子は「こわい、こわい」と言い続けています。「死んだ女の子」よりもっとこわいんだそうです。夫は、こんなにBGMになりにくいCDが果たして売れるのかと心配しています。 2006/05/19


気ままなゴールディウィーク

連休に入り、なんともいいお天気続き。

連休の始まったところで、まず都内を散歩。門前仲町で大学時代からの友人で作家の伴田良輔氏が突然始めたアニメの展覧会を見てアサリ一杯の深川丼食べて。

翌日は奥高尾の縦走路を歩いてきたのですが、若葉がとってもきれいでした。高尾は、高尾山頂から奥へ踏み入れた、その途端に世界が変わるんですよ!途中少しきついアップダウンもありますが、あの開けた尾根の感じはとても優しく、おだやかな気持ちで歩ける道です。

その日の朝は、『未妊−「産む」と決められない』も朝日新聞日曜版の書評欄に載せて頂いてホッと一息。ありがたいことです。本というものは、今、毎日200タイトル出るのだそうですよ。その中で目をとめて頂くのは生半可なことではなく、やはり新聞の書評というものがオーソドックスだけれど本屋さんに本を知っていただく王道なのです。

しかし最近は、王道にはまだなっていないものの本当にいろいろな書評を書いて頂けるようになりました。アマゾンなどもそうですし、ブログというものがある。まあ、私も前回と前々回で気ままなことを書いていますね。

知らない方のブログに登場する『未妊』評を拝読しました(検索すると出てきてしまうので、次々に見つけてしまうのです)。プロが見られることを意識して書くのとはまったく違うブログの言葉は本当にリアルで、ドキドキしました。こんな風に読者の心にアクセスできるルートがあるのは、考えると夢のようにすごいことです。人々が大挙して日記を公開しているこの状況って、一体ナニ‥‥?

連休これからの残りは何しようかな。ああうれしい、この自由。ああ、年に4〜5回は欲しいゴールディウィーク。 2006/05/04


「脳の中の人生」

連休まで直線コースに入った今週。連休が待ち遠しく、また残された仕事時間が短いのがおそろしくもあり。

連休のお出かけイベントは、ふたつだけ決めました。あとは毎日お掃除して、ひさしぶりに意欲的にご飯作って、ピカーッと早起きして、気持ちよく過ごしたいなあ。最近ほんとうに家のことをしていません。

茂木健一郎さんの新書『脳の中の人生』を読みました。うれしくなる一文をいくつか見つけたのですが、ひとつは、テレビなどで解説役を頼まれるとき「科学ではここまでわかっている」とすでにわかっていることを話して欲しいと言われるが、科学のおもしろさはまだわからないことを考えるところにある、というくだりでした。

科学的な人ほど、わからないこと、不思議なことで世界は満ちていると感じる。そしてこれまでの法則が及ばないものに対して、それは逸脱あるいは狂いではなく、さらに複雑で高度なつくりゆえにそれまでの法則が及ばないのだと考える。

こういうスタンスがもっと産科学に入っていれば、無理矢理産ませるお産を科学的なお産だなどと考える悲しい時代がなくてすんだのに、と思いました。

ただ、医学は科学ではない、と臨床の達人たちはよく言います。「あっ、ここからはわからないぞ。不思議だなあ。探求したいなあ」と言っていたら、そんなことをしてるいうるうちに患者は死んでしまうのではないかという、そういう恐怖があるのでしょうか。

最近なんとなく新書をぽろぽろと買ってしまいます。難しい話を読みやすく面白く作るというやり方がよくできていて、これはたくさんの新書ファンを作りますね。 2006/04/24


「超バカの壁」

『未妊−「産む」と決められない』は養老先生の著書に影響を受けていますが、昨日買った「超バカの壁」にも「子どもの問題」という章がありました。最初の5行で、私が『未妊』で何十名もの女性や統計に裏を取ったことが書かれていた気がしました。

「少子化と都市化は一体の問題です」というのが養老先生の選んだ言葉です。都市化とは、核家族であるとか、箱に仕切られた個であるとか、人の関係性の変化がここから起きていったのです。ここから、子ども、親子、夫婦、近所の人間関係といった人間関係が根こそぎ変わっていきました。

都市化は工業化で始まっています。社会が子どもが受容できたのは第二次産業まででそこから先の世界には子どもを育てる器が家庭にありません。物理的に昼間の家が空っぽだし、伝えるべき家業がある家もめっきり少なくなり、本当に、今時子どもを産むというのは趣味か、理想の主張か、現代への抵抗か‥‥あるいはできちゃったっていうことだと私なんかも思ったりします。

でも、子どもはできてしまえば何とかなるし、楽しいので、大変な分は補ってあまりあります。やはり、大人だけで今の都市に生きていくのはあまりにも現代的すぎるというか、ちょっと不安な気がします。それで、子どもも生まれてきて楽しそうだし、おたがいに楽しいので産んでよかったな、と。

今という時代に子どもを産むべきかどうかというのは、その程度の認識がバランスいいのかな。ひとつ間違うと、趣味に過ぎたり、理想的なことを考え過ぎたり、反抗精神強すぎになったりするかもしれません。子どもを育てている人も、自分は産んでも所詮あさましい都市生活者なのだということは忘れない方がよいと思います。 2006/04/11


子供会でボウリング

地域の子供会役員としてのお役目で、小学生10人くらい連れてボウリングへ行きました。子どもたちなので、あの、溝に落ちないようになっているやつです。

投げて1メートル先で溝に入ったに違いないボウルも「よたー、よたー、よたー」と進んで何とか向こうにたどりつき、「ぐわらぐわらぐわら〜〜〜〜〜〜〜〜どて(最後に一本思い出したように倒れることがある)」。このようにスローモーションでけっこうピンが倒れるという大変なごやかな遊びです。

一度、ボウルがレーンを1/3ほど進んだところで止まってしまったこともありました。「おばちゃん、止まっちゃった」と言ってきたのですが、よ−く見るとボウルは止まっていませんでした。超低速で動いています。「ご・ろ・ご・ろ・ご・ろ・ご・ろ‥‥」不思議にも、ボウルは転がり続けます。こちらでしゃがんでじーっと見守る子どもたち。「まだ動いてるよ‥‥」

見守ることしばらくして、ついにピンにあと何10センチかというところにまで行ったとき、時間切れになり、ピンをはらう機械が上から降りてきました。そしてピン及びボウルをはらうという珍しい光景となりました。

ああ、のんびりした。楽しかったです。春休みの最後に、やっと遊べたような。

「『未妊』がアマゾンで発売になりました」というNHK出版からの携帯メールが入っていたのを見ながら帰宅。すぐにパソコンをつけて確認すると表紙画像も書評もまだ何もないタイトルだけの生まれたてページができていました。

取材で協力して頂いた方への発売前の献本が届き始めたようで、早くもメールボックスには、一気読みしたという方たちのE-mailがメールボックスにたくさん入っていました。何だか、『未妊』はガーッ!と読める本らしいです。ガーッ!と書いたからでしょうか。

彼女たちの感想がうれしくてうれしくて、しばし言葉のシャワーをいただきました。ありがとうございます。 2006/04/04


河合蘭公式サイトを開きました

河合蘭公式サイトを開きました東京は突風の中、新年度です。わが家も長い春休みに出口が見えてきて、今日からファミサポの方が再び来て下さるようになりました。

「お久しぶりです〜。書いてた本、できました。今週発売です」「まあーできたの!」喜んで下さいました。春休み中ずっとご飯をしてくれた娘は明日から大学生に戻ります。

週末に、「河合蘭公式サイト」というものをオープンしました。以前から作りたいと思っていたのですが、なかなかできなくて。

今回できたのは、『未妊−「産む」と決められない』を出したおかげ。実はREBORNサイトも、『お産選びマニュアル』を出したのでできたのです。何故かというと、本の後ろにはプロフィールというものがつきます。そこで、サイトのURLを入れられる→かねてより作りたいと思っていたサイトを「この際作っちゃえ」と思える、とこういう順番なのでした。

新サイトはいたってシンプルなサイトで、ただひたすらに、書いてきたものを集めておくのみのサイトです。手元にあった古い掲載誌をどんどん入れていきました。

今後、媒体にご了承いただきながら、PDF書類で本文テキストを読んでいただけるようにしていきます。そうすると結構読んで楽しんでいただけるサイトになると思いますので、ご期待下さい。

とっても使いやすい更新システムを、REBORNのウェブ担当オリーブ・デザインさんに作って頂きました。実は、新サイトに作った記事一覧、このREBORNスタッフ日記とシステムは同じものです。でも印象がまったく違う画面になっています。

日記はもちろんこちらでつけ続けますが、新サイトの「近況」では、数行の仕事上のお知らせを書いていこうと思います。

◆河合蘭公式サイト http://www.kawairan.com/index.html
2006/04/03


『未妊−「産む」と決められない』目次

REBORNブックサービスとお産図書館に『未妊−「産む」と決められない』をアップしてもらい、予約を開始しています。ただいま印刷中です。3月29日に見本が上がり、4/5あたりから書店店頭に並ぶ模様です。

こんな本になりました。詳細な目次もアップしましたので見て頂けたらうれしいです‥‥いや、見てっ。

『未妊−「産む」と決められない』
http://www.web-reborn.com/books/book/mininumutokimerarenai.html

大きなオビが生活人新書の特徴です。イラストを描いていただいた大塚いちおさんはものすごく優しい方でした。なぜか神社の絵馬を描いていらっしゃいます。川越へベストセラー祈願に行こうかな!

川越鎮守の森氷川神社
http://www.hikawa.or.jp/jinja/html/ema.html
2006/03/23


シャバは春だった

今年に入ってから、ほとんど休日をとっていませんでした。この週末は久しぶりに休日をしてみました。ヨガの帰りに夫と吉祥寺をふらふらしていると、友達とふらふらしている長女と遭遇したり。

「ベストセラーを書いたんだから、大丈夫さ」なんて財布のひもがゆるみがち。実は、休日というものをとらないと余計なものをカンペキに買いませんから、いつもよりは余裕があったのでした。駅の近くのお気に入りお味噌屋さんでたくさん買う。重いのなんの。夫に持たせる。

日曜日はしばらくぶりに空手に行く。稽古場のお不動さん境内は紅梅が満開で、春の日差しが一杯だった。季節は変わっていた。シャバは春だった〜。

今日はよい子で10時に就寝して、今週は明日早朝より総仕上げをがんばります。 2006/03/05


4月に出る本のタイトル決まる

年末からまとめ上げに入っていた本がだいぶできてきて、4月に出ます。タイトルも決まりました。

『未妊−「産む」と決められない』

と申します。どうぞ、ずずずーいとよろしくお願い申し上げます!

NHK出版生活人新書に入ります。実は、念願の新書です。というのは、お産の本というのは、書いても書いても、妊婦さんコーナーにしか並ばないんですわ。あとは医学書コーナーとか。私は、お腹の大きくない人とも話がしたかった。まだ産んでいない女性、そして男性とも話したかったのです。

「産む」と決められない人、それは産まない人でもなく、産めない人でもありません。でも、まだ産んでいない人の中の大多数です。そんな女性たちへの取材をもとに作りました。「産む」と決められない仕事、そして性について私に語ってくれたたくさんの素敵な姉御たちに深謝‥‥です。

前半で彼女たちの本音を描いたあと、後半では「決められる」情報へとお連れしますよ。

これから校正をにらみ続け、組み始められ、目鼻がついていきます。R.ストーンズが来る頃にはだいぶできているかな〜(買ってしまいました、チケット)。

<写真>表紙初公開か?!‥‥まだダミーです。 2006/02/23